凸版印刷・理研ジェネシスと共同で、研究用として提供開始
シスメックス株式会社と凸版印刷株式会社と株式会社理研ジェネシスは8月30日、がん組織内の遺伝子変異を検出する検査を全自動化する「研究用遺伝子測定装置LW-100」および関連試薬群を開発、同システムの研究用としての提供を開始することを発表した。
画像はリリースより
近年の個別化医療の進展に伴い、がん治療では、遺伝子検査の結果に基づき診断や治療薬選択が行われるケースが増えており、診断ガイドラインにおいても遺伝子検査の利用が推奨されている。
がん患者の術後の治療法選択時には、手術で採取したがん組織内の遺伝子変異を調べる検査が実施されるが、従来の方法では、核酸抽出から遺伝子増幅(PCR)の工程でサンプル・試薬分注など多くの手作業が必要なため、遺伝子検査は専門の検査センターに委託されるケースが多く、治療法確定には時間がかかっていた。しかし、早期治療開始の流れを受け、遺伝子検査の院内検査化とそれに伴う検査の標準化が求められている。
煩雑さを解消し検査の標準化に貢献
シスメックスと凸版印刷と理研ジェネシスは、がん遺伝子検査の標準化を目指した提携を2014年6月に開始。シスメックスが保有する試薬開発力およびシステム化技術、凸版印刷の保有する遺伝子変異検出チップおよび消耗品開発技術、理研ジェネシスの遺伝子変異解析技術を活用して、がん組織標本を用いた遺伝子検査を自動化するシステムの共同開発を進めてきた。
3社はLW-100により、がん組織標本のパラフィン溶解から核酸抽出および精製、遺伝子増幅、測定結果表示までの工程を自動化するシステムの研究市場への導入を開始。手作業を含めた全工程を自動化することで、検査の煩雑さを解消し、検査の標準化に貢献するという。
また、LW-100と同時に導入する肺がんの主要バイオマーカーEGFR遺伝子変異の検出チップ「LW-100 EGFR 研究用試薬」は、検出対象の遺伝子変異を特異的に増幅するBNAクランプPCR法を採用しており、EGFR遺伝子変異の高感度測定を実現する。
3社は、同システムの国内の研究市場への導入により、臨床用途での実用化および遺伝子検査の標準化に向けた取り組みを加速するとともに、今後は、グローバルで製薬企業や医療機関と連携して、コンパニオン診断薬の開発を進めていく方針としている。
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・シスメックス株式会社 ニュースリリース