■日薬等と原因究明の検討も
厚生労働省が公表した、2017年度の「医薬品販売制度実態把握調査」(覆面調査)の結果によると、濫用の恐れがある医薬品を複数購入しようとして、「質問なしに購入できた」割合は前回調査から2.2ポイント上昇した。厚労省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」で、プロトンポンプ阻害薬(PPI)のスイッチ化の審議で問題視された、不適切な対応をした店舗が増えたことになる。
調査は、薬局・薬店が店舗やインターネットで一般薬が適正に販売されているかどうかを把握するため、調査員が消費者を装って実施しているもの。今回は、5017の薬局・店舗、507のインターネット販売サイトを対象とした。
店舗販売の調査結果で、エフェドリンやコデインなど濫用の恐れのある医薬品を複数購入しようとした時の対応では、「質問等されずに購入できた」が38.8%(前回調査36.6%)で、不適切対応の店舗が増えた。
また、「一つしか購入できなかった」や「複数必要な理由を伝えたところ購入できた」など、販売方法が適切だった割合も61.3%(63.4%)となり、前回より悪化した。これを形態別に見ると、薬局が69.7%(76.6%)だったのに対し、店舗販売業は61.0%(62.6%)とやや低かった。
厚労省医薬・生活衛生局総務課は、濫用の恐れがある医薬品販売のルール遵守が「ずっと低いままというのは問題」と指摘。都道府県に対し、さらなる監視指導の強化と、具体的にどのような指導を行い、遵守状況がどれだけ改善したかなどについて、「フォローアップを求めたい」とした。
また、日本薬剤師会や日本チェーンドラッグストア協会に対しても、販売ルールの順守徹底を求めると共に、「なぜ、改善しないのか」について、「原因究明のための意見交換」を行う考えを示した。
要指導薬の販売では、購入者本人が使用するか確認を行った割合は82.9%で、前回の81.0%から1.9ポイント上昇した。また、要指導薬の販売で情報提供があった店舗のうち、文書を用いて情報提供があった割合も2.2ポイント増の78.0%(75.8%)で、やや改善した。
第1類医薬品の販売では、文書を用いて情報提供を行った薬局が3.3ポイント増の71.5%(68.2%)だった。
名札などで専門家の区別ができた割合は79.7%(83.2%)で3.5ポイント低下した。形態別で見ると、薬局が73.9%(83.3%)、店舗販売業が82.2%(83.1%)で、薬局の順守率が9.4ポイントも下がった。
ネット販売では、第1類薬の相談に薬剤師が対応した割合は18.8ポイント減の51.3%(70.1%)で、第2類薬では薬剤師と登録販売者が対応した割合が8.4ポイント減の25.5%(33.9%)で、販売ルールに沿った対応ができていない店舗が増えていた。