■新規に“かかりつけ”機能強化も
厚生労働省医薬・生活衛生局の2019年度予算概算要求は、前年度比20.8%増の109億2700万円を計上した。医薬品・医療機器の申請・届け出手続きを全てオンライン化するための経費を新規で盛り込んだほか、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査体制強化に必要な人件費を計上。かかりつけ薬剤師・薬局の機能強化に向けた予算も新規で要望し、薬剤師・薬局が地域の医療機関などと連携体制を構築するためのモデル事業を実施する。
革新的な医薬品・医療機器等の実用化促進に向け、医薬品・医療機器の申請・届け出手続きのオンライン化に4億5000万円を要求。
これまで、一部しか電子化されていなかった医薬品・医療機器の申請・届け出手続きを全面的にオンライン化することで、行政手続きの簡素化・迅速化、事業者の負担軽減を図る。
PMDAの審査体制強化には1億4000万円を計上。「先駆け審査指定制度」の促進に向け、PMDAの審査チームと承認までに必要な工程の管理を行うコンシェルジュを拡充し、審査体制の強化を図る。
小児用医療機器の実用化促進に新規で1400万円を要求。患者数の少なさや採算性の問題から、企業が開発に積極的でない状況を踏まえ、承認申請手数料の支援を行う。
薬局機能の強化には、新規で2億2300万円を計上。厚労省の検討会で議論が進んでいる薬機法見直しの中で、薬剤師・薬局が地域で果たすべき役割や薬局間・医療機関等との連携体制を構築するためのモデル事業を実施する。
また、「患者のための薬局ビジョン」の進捗状況にかかる患者・国民視点の評価を把握するための調査や、先進事例を集めた事例集などを作成し、地方自治体などと情報共有する。
「薬剤師の専門性の向上」に新規で5000万円を要求する。
地域で患者と医療機関、薬局をつなぐことができる薬剤師を育成するため、医療機関が取り組む薬剤師卒後研修に対して、研修指導員(医師・薬剤師)の人件費を補助するモデル事業を行う。
電子処方箋の普及・推進、電子版お薬手帳の利活用の推進に新規で1億2700万円を計上した。
今年度に実施する電子処方箋の実証事業の結果を踏まえ、普及・推進に向けた仕組みを調査、検討する。電子お薬手帳については、利活用を推進するための方策の検討(フォーマット・追加機能等)や、電子処方箋などとの連携を検討する。
一般用医薬品適正使用のための研修事業に新規で500万円を計上。消費者が安心して一般薬を購入できる環境を整備するため、研修プログラムの作成や実際に研修・指導が行える登録販売者の育成を行う。
GMP査察体制の強化に2億5700万円を要求し、都道府県やPMDAの医薬品GMP担当者への実施研修や、医薬品製造所への無通告査察体制や、製造所から収去した製品の試験体制の強化を図る。
来年11月に日本で初めてのPIC/S総会が富山県で開かれることを受け、新規で3800万円を計上。PIC/S加盟当局間での査察結果の相互利用を促進する。