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細胞画像の深層学習で細胞を高速に選抜・解析する基盤技術を開発-JSTら

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2018年08月30日 PM02:30

「セレンディピティの計画的創出」により開発

)は8月28日、細胞の高速イメージングと深層学習を用いた画像解析で細胞を1つずつ網羅的に高速識別し、その解析結果に応じて所望の細胞を分取する世界初の基盤技術「Intelligent Image-Activated Cell Sorter」の開発を発表した。この研究は、内閣府革新的研究開発推進プログラム()「セレンディピティの計画的創出」に参画する、光量子科学、電気工学、機械工学、化学、情報科学、医学、生物学など多くの異分野にわたる研究者の共同開発によるもの。研究成果は「cell」オンライン版で公開される予定。


画像はリリースより

多種多様な細胞の組成や構造、形態などと生理機能の関係を調べることは、生物学における主題のひとつであるが、均一であるはずの細胞群から個々の振る舞いの違いが観察されることは、生命現象の理解を困難にし、医療やバイオ産業の発展の妨げとなっている。来の技術では、個々の細胞から得られる情報量と解析可能な細胞数は、トレードオフの関係になっており、多様な細胞を網羅的に研究することに限界があった。そこで研究グループは、この限界をなくすための研究開発を進めていたという。

細胞中に1%程度の遺伝子変異の分取・培養に成功

この研究では、光学や電気工学、情報科学、機械工学、生物学、医学など、多分野にまたがる専門家を結集。大量な細胞集団に含まれるひとつひとつの細胞を高速に撮像し、それらの画像を深層学習など最先端の情報処理技術でリアルタイムに判別し、細胞集団の中から特定の細胞を分取する基盤技術「Intelligent Image-Activated Cell Sorter」を確立した。この技術は、高速細胞分取技術「Fluorescence Activated Cell Sorter」に、(Image-Activated)と深層学習(Intelligent)を融合することによる飛躍的な発展であるという。

技術の汎用性を示す実験としては、3マイクロメートルから30マイクロメートル程度の異なるサイズの種々の細胞の高速撮像、がん患者の血液中にわずかに含まれる循環がん細胞様細胞の画像による発見などを例示。細胞を識別するアルゴリズムとしても、従来の画像処理アルゴリズムから最先端のコンボリューショナル・ニューラル・ネットワークまで幅広く対応可能であることも、ビーズや細胞を用いた実験で実証したという。

さらに同技術の実用的な展開として、緑藻類クラミドモナス(コナミドリムシ)と血液中に含まれる血小板を1秒間に約100回のスピードで撮像・判別・分取できることが示された。また、クラミドモナスの実験においては、20万個以上の細胞の中に1%程度含まれる希少な遺伝子変異を引き起こした細胞の分取・培養に成功し、血小板の実験では、血小板の複数の形態を見分けて血液中に含まれる凝集血小板を分取する実験に成功した。これらの結果から、技術の実用性と有効性が示されたとしている。

同研究で開発した装置は、、医学、薬学など基礎研究の発展に寄与することを目指し、オープン利用を展開(http://www.goda.chem.s.u-tokyo.ac.jp/intelligentIACS)。また、関連技術の事業化を進めるために、株式会社CYBOをImPACT発ベンチャーとして設立した。研究グループは、「従来の細胞計測技術では検出・分取できなかった細胞を分取して解析することで、生命科学分野におけるさまざまな発見やバイオ産業や医療分野での開発が大きく発展すると期待される」と述べている。

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