医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医薬品・医療機器 > 肥満症治療剤BELVIQ、大規模心血管疾患アウトカム試験の結果を公表-エーザイ

肥満症治療剤BELVIQ、大規模心血管疾患アウトカム試験の結果を公表-エーザイ

読了時間:約 1分48秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年08月30日 AM11:45

米国での市販後臨床試験でMACEの発生頻度などを評価

エーザイ株式会社は8月28日、(米国製品名:BELVIQ(R))」に関する、市販後臨床試験として実施した心血管疾患アウトカム試験(CAMELLIA-TIMI61試験)の結果について、ドイツ・ミュンヘンで開催されている欧州心臓病学会総会(ECS Congress 2018)において口頭発表するとともに、「the New England Journal of Medicine」に掲載されたことを発表した。

同試験は、TIMI(Thrombolysis in Myocardial Infarction) Study Groupとの提携のもと、米国を含む8か国、400施設以上で実施された、肥満症治療に関する最大規模の心血管疾患アウトカム試験。米国食品医薬品局()の要求に基づく市販後臨床試験としても実施された。

この試験では、過体重および肥満の成人患者で、心血管疾患をすでに有している、もしくは心血管疾患のリスク因子を伴う2型糖尿病を有する人、合計1万2,000人を対象に、BELVIQ 10mg錠またはプラセボ錠を1日2回長期(中央値3.3年間)投与し、主要な安全性評価として、主要心血管イベント(: Major Adverse Cardiovascular Events、心血管死、心筋梗塞、脳卒中)の発生頻度を評価した。

心血管イベントのリスク増加は確認されず

試験終了時のMACEの発生数はBELVIQ投与群で364人/6,000人(発生率として2.0%/年)、プラセボ投与群で369人/6,000人(発生率として2.1%/年)であり、BELVIQ投与群は、プラセボ投与群と比較してMACEの発生頻度を増加させず(ハザード比0.99、95%信頼区間:CI=0.85-1.14,非劣性マージン:1.4)、主要な安全性評価の目的である統計学的非劣性を達成した。

主要な安全性評価目的を達成したことを受け、主要な有効性評価として、MACEに「入院を要する不安定狭心症もしくは心不全、または冠血行再建術」項目を加えたMACE+についても評価。その結果、MACE+の発生数はBELVIQ投与群で707人/6,000人(発生率として4.1%/年)、プラセボ投与群で727人/6,000人(発生率として4.2%/年)であり、統計学的優越性は示されなかったが(p=0.55)、統計学的非劣性が確認された(ハザード比0.97、95%CI=0.87-1.07,非劣性マージン:1.4)。

また、探索的評価項目である有効性について、1年間投与による5%以上の体重減少はBELVIQ投与群では39%、プラセボ投与群では17%、10%以上の体重減少は、BELVIQ投与群では15%、プラセボ投与群では5%であり、それぞれBELVIQ投与群がプラセボ投与群に比較して有意な体重減少を示した(5%以上の体重減少:名目p<0.001、10%以上の体重減少:名目p<0.001)。ベースラインからの体重変化は、BELVIQ投与群では平均4.2kgの減少、プラセボ投与群で平均1.4kgの減少となり、BELVIQ投与群ではプラセボ投与群と比較して平均2.8kgの実質的体重減少をもたらした(名目p<0.001)。

さらに、併存疾患に対する標準治療に加え、BELVIQ投与(1年間)を行うことで、それぞれの併存疾患指標について、収縮期血圧(プラセボとの差:-0.9mmHg)、拡張期血圧(同:-0.8mmHg)、心拍数(同:-1.0拍/分)、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール(同:-1.2mg/dL)、中性脂肪(同:-11.7mg/dL)および非高比重リポ蛋白()コレステロール(同:-2.6mg/dL)と改善が見られた。

2型糖尿病患者では、ヘモグロビンA1C()が減少し(ベースラインからのプラセボとの差:-0.3%)、糖尿病発症前段階からの糖尿病新規発病の割合が低下した(発病率:BELVIQ投与群:3.1%/年、プラセボ投与群:3.8%/年)。

なお、この試験のさらなる解析結果についてはドイツ・ベルリンで開催される欧州糖尿病学会(European Association for Study of Diabetes)年次総会において10月4日(現地時間)に発表予定。(横山香織)

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医薬品・医療機器

  • 2025年1月より社長交代で新たな体制へ‐アレクシオンファーマ
  • ミリキズマブの炎症性腸疾患に対する長期持続的有効・安全性データを公開-リリー
  • 転移性尿路上皮がん、一次治療における新たな選択肢への期待
  • 心臓ロボット手術用の部位を見やすく展開するプレートを開発-大阪公立大
  • 新たにオンコロジー領域に注力し「2031年までに年平均成長率8%を目指す」‐GSK