16の希少がん患者会が加盟する患者会ネットワーク
国立がん研究センターと日本希少がん患者会ネットワークは8月23日、希少がんの新規治療開発とゲノム医療を推進するMASTER KEYプロジェクトにおける連携協定を締結したと発表した。
画像はリリースより
MASTER KEYプロジェクトは、2017年5月より国立がん研究センター中央病院で開始した産学共同プロジェクトで、希少がんのレジストリ(疾患登録)研究とバスケット試験から構成される。レジストリ研究では、希少がん患者の診療情報やそれぞれのがんが有する遺伝子異常の情報、治療の効果を含む網羅的なデータベースを構築することを目的としている。また、バスケット試験とは、標的とする遺伝子変異のある希少がんを有する患者であれば、がん種に関係なく参加できる臨床試験のことを指す。このプロジェクトでは多くのバスケット試験を実施することで、これまで治療の機会が限られていた希少がん患者に対して、臨床試験への参加を通じたより多くの治療の機会を提供することを目的としている。2018年8月23日現在、11社の企業が参加する、世界的にも初めての試みである。
日本希少がん患者会ネットワークは、患者数が少なく、治療開発の取り組みが難しい希少がんの研究推進、患者家族支援、政策提言に取り組む、希少がんの患者会のネットワーク。2017年8月に設立され、2018年8月19日現在、希少がんの患者会16団体が加盟し、ゲノム医療の推進を好機ととらえ活動を展開している。
企業への説明会や患者向けセミナーへの相互参加などで連携
今回協定が締結された主な連携内容は、MASTER KEYプロジェクトの新規参加企業を対象とした説明会、定例会や患者向け各種セミナーなどへの相互参加、MASTER KEYプロジェクトのウェブサイトや説明パンフレットなどへの日本希少がん患者会ネットワークによる作成協力、定期的な連絡会の開催によるプロジェクト進捗や附随する研究に関する情報交換、その他、プロジェクトの推進にあたり、相互合意した各種活動への参加など。
対象は、年間発生数が人口10万人あたり6例未満の希少がん、原発不明がん、common cancerの希少組織亜型のいずれかと診断され、治癒が難しいと言われている進行がん。バイオマーカー情報を有していることも必要となる。
今回の連携協定により、国がんと日本希少がん患者会ネットワークが連携してMASTER KEYプロジェクトを推進することで、全国の希少がん患者へプロジェクトの情報を正しく提供し、研究協力を得ることで研究の全国展開を加速させ、希少がんの個別化ゲノム医療の実現につながることが期待される。
▼関連リンク
・国立がん研究センター プレスリリース