治療方針確定などで重要なCD4陽性リンパ球の測定
シスメックス株式会社は8月23日、子会社のシスメックス パルテックが開発・製造する「CyFlow(TM)Counter System(CyFlow(TM)Counter/CD4 easy count kit/CD4%easy count kit)」が、HIV感染者の診断や免疫状態のモニタリングの補助を目的とした血中CD4陽性リンパ球を調べる臨床検査システムとして、WHOによる事前認証(Prequalification)を取得したと発表した。
画像はリリースより
HIVは、感染症から身体を守る免疫機能の中心的役割を担うCD4陽性リンパ球に感染し、CD4陽性リンパ球の数を減少させることにより、徐々に感染者の免疫力低下を引き起こすヒト免疫不全ウイルス。HIV感染者数は、アフリカを中心として、世界で3690万人に上る。これらのHIV感染者への治療方針確定や、治療効果のモニタリングなどでは、CD4陽性リンパ球の数や比率を調べる検査が重要な役割を果たしている。
新興国・開発途上国など医療資源が限定される国や地域へ提供も
CyFlow Counter Systemは、デスクトップサイズのフローサイトメーター(CyFlowCounter)と関連試薬群(CD4 easy count kit/CD4% easy count kit)で構成され、血液中のCD4陽性リンパ球の数と比率を3分で測定する。フローサイトメトリー技術を活用し、高い処理能力と測定精度を備えた同システムは、小型・ポータブル式であることに加え、レファレンスビーズの測定を不要とすることでメンテナンスを簡略化するなど、簡便かつ迅速、安定的な検査を支援するという。また、欧州経済域内において販売される特定の製品に対して取得が義務づけられるCEマーク(欧州整合規格)認定を取得している。
WHO事前認証は、医療機器や医薬品などを資源の限られた国々で安心して使用できるようにするために、WHOが性能を担保していることを示す認証制度。シスメックスとパルテックは、同システムの認証取得を目指して、品質および安全性要件を満たすための性能評価活動を行ってきた。
WHO事前認証の取得は、シスメックスグループの製品で初。国連やその他調達機関による臨床検査機器などの購入判断時に参照されるWHO事前認証の取得により、今後、新興国・開発途上国などの医療資源が限定される国や地域へ、同システムを広く届けることが可能となる。同社は、今回のWHO事前認証取得を機に、医療資源が限定される国や地域も含めた同システムの導入をさらに推進し、新興国や開発途上国におけるHIVの診断や治療の質向上に貢献していく、と述べている。
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