厚生労働省は21日、中外製薬の「タミフル」(一般名:オセルタミビル)など抗インフルエンザウイルス薬7品目について、添付文書の「使用上の注意」を改訂するよう製造販売業者に要請した。タミフルの警告欄から10代の使用差し控えの記載を削除し、投与を再開できるようになる。異常行動に対する注意喚起についても、整合性を図るため他の抗インフルエンザ薬と内容を統一した上で、重要な基本的注意の項に記載する。
今回の改訂対象となる抗インフルエンザ薬は、タミフルのほか、「シンメトレル」(アマンタジン)、「リレンザ」(ザナミビル)、「イナビル」(ラニナミビル)、「ゾフルーザ」(バロキサビル)、「アビガン」(ファビピラビル)、「ラピアクタ」(ペラミビル)の計7品目。
タミフルでは、警告の項から10代患者の原則使用差し控えの記載を削除し、10代の患者に投与を再開できるようにするほか、異常行動に対する注意喚起を他の抗インフルエンザ薬と同じように重要な基本的注意の欄に移す。
また、異常行動に対する注意喚起については、改訂対象の全品目で内容を統一する。抗インフルエンザ薬の種類や服用の有無にかかわらず、インフルエンザ罹患時に異常行動例が報告されているため、発熱から少なくとも2日間は保護者が転落などの事故に対する防止対策を実施することなどを追記した。
さらに、副作用の項の重大な副作用として異常行動を追記し、因果関係は不明であるものの、インフルエンザ罹患時に急に走り出すなど、転落の恐れのある異常行動が見られる可能性があることを記載した。
2007年にタミフルを服用した中学生の転落死などが相次いで報告されたことから、添付文書で10代患者の使用を原則として差し控えるよう警告。服用後の異常行動への注意を促していたが、今年5月の厚労省の安全対策調査会で10代への使用差し控えを解除すると共に、他の抗インフルエンザ薬と同じように異常行動への注意喚起を統一することとしていた。