低用量経口免疫療法に乳酸菌発酵果汁飲料を併用
国立成育医療研究センターは8月21日、牛乳アレルギーに対する緩徐経口免疫療法に乳酸菌発酵果汁飲料を併用する臨床研究「牛乳アレルギー治療(経口免疫療法)に対する有効性検証試験(乳酸菌発酵果汁飲料を用いた二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験−パイロット研究):TOY Study」を2018年3月から開始したことを発表した。
食物アレルギーの治療法の主体は、原因となる食物をさける除去食だ。しかし、摂取する食物を制限することは患者やその家族の日常への負担が大きいだけでなく、成長障害へとつながる可能性があり、現在は、食物アレルギーの治癒を目指す新しい治療法として経口免疫療法が注目されている。経口免疫療法は、原因となる食べ物を安全な量で少しずつ食べることで耐性の獲得を目指す治療法だ。
また、アレルギー疾患の治療の一環として、抗アレルギー効果がある食品の乳酸菌が注目されている。今回使用する乳酸菌で発酵させた果汁飲料(乳酸菌発酵果汁飲料)を継続して摂取すると、スギ花粉症やアレルギー性鼻炎の症状が改善することも報告されている。
1~18歳以下の牛乳アレルギー患児を対象に
今回の試験対象者は、牛乳アレルギーをもつ1~18歳の子ども。牛乳アレルギー患児に対して低用量経口免疫療法を行う際、同時に乳酸菌発酵果汁飲料を摂取することで、経口免疫療法の治療効果が増強されるかを検討する。
まず、牛乳の経口負荷試験にて牛乳アレルギーの診断を実施。その際、少量の牛乳摂取でアレルギー症状の出現がみられる場合は、経口免疫療法を要すると判断する。対象者は牛乳の低用量経口免疫療法を開始すると同時に、試験飲料またはプラセボ飲料を毎日摂取する。これを半年間継続し、研究終了時に牛乳の経口負荷試験をおこなうことで、治療効果があるかどうかを判断するという。増強効果が認められれば、食物アレルギー症状やQOLの改善が期待できるとしている。
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・国立成育医療研究センター プレスリリース