顕著な抗腫瘍効果を示したMMG49 CAR-T細胞療法
大阪大学と大塚製薬株式会社は8月21日、同大が開発しているMMG49 CAR-T細胞療法について、大阪大学が大塚製薬に全世界における関連特許の独占的な実施権を許諾する契約を締結したと発表した。
CAR-T細胞療法とは、悪性腫瘍の細胞表面に特徴的に発現しているタンパク質(抗原)を特異的に認識するCAR(キメラ抗原受容体)の遺伝子を患者由来のリンパ球に導入し、再び輸注するがん治療だ。
MMG49 CAR-T細胞療法は、大阪大学大学院医学系研究科の保仙直毅寄附講座准教授らの研究グループが開発している新しい多発性骨髄腫の治療法。研究グループは、がん化した骨髄腫の細胞表面において、インテグリンβ7が活性化していることに着目し、活性化されたインテグリンβ7に結合する抗体としてMMG49を同定。非臨床試験において、MMG49を組み込んだCAR-T細胞が多発性骨髄腫に対して顕著な抗腫瘍効果を示したことを2017年11月に発表している。
基礎研究は共同、臨床開発・製造・販売は大塚製薬が実施
今回の契約締結に伴い、大塚製薬は大阪大学に契約一時金および開発の進捗に応じたマイルストン達成金、売上高に応じたロイヤリティを支払う。大阪大学と大塚製薬は、診断薬を含む全ての適応症を対象領域とした基礎研究を共同で実施。また、大塚製薬は、臨床開発、製造および販売を独占的に実施する。
多発性骨髄腫は、近年の治療の進歩は著しいものの、未だに治癒は極めて困難であり、新たな治療薬の開発が待ち望まれている。大阪大学の保仙准教授はプレスリリースで、「血液がんを中心にグローバルに展開する大塚製薬と提携することで、効率よく開発が進められるものと確信している」と述べている。