医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 多発性骨髄腫に対する新規CAR-T細胞療法の独占的ライセンス契約締結-阪大と大塚製薬

多発性骨髄腫に対する新規CAR-T細胞療法の独占的ライセンス契約締結-阪大と大塚製薬

読了時間:約 1分8秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年08月23日 PM12:45

顕著な抗腫瘍効果を示したMMG49

大阪大学と大塚製薬株式会社は8月21日、同大が開発しているMMG49 CAR-T細胞療法について、大阪大学が大塚製薬に全世界における関連特許の独占的な実施権を許諾する契約を締結したと発表した。

CAR-T細胞療法とは、悪性腫瘍の細胞表面に特徴的に発現しているタンパク質(抗原)を特異的に認識するCAR(キメラ抗原受容体)の遺伝子を患者由来のリンパ球に導入し、再び輸注するがん治療だ。

MMG49 CAR-T細胞療法は、大阪大学大学院医学系研究科の保仙直毅寄附講座准教授らの研究グループが開発している新しい多発性骨髄腫の治療法。研究グループは、がん化した骨髄腫の細胞表面において、インテグリンβ7が活性化していることに着目し、活性化されたインテグリンβ7に結合する抗体としてMMG49を同定。非臨床試験において、MMG49を組み込んだCAR-T細胞が多発性骨髄腫に対して顕著な抗腫瘍効果を示したことを2017年11月に発表している。

基礎研究は共同、臨床開発・製造・販売は大塚製薬が実施

今回の契約締結に伴い、大塚製薬は大阪大学に契約一時金および開発の進捗に応じたマイルストン達成金、売上高に応じたロイヤリティを支払う。大阪大学と大塚製薬は、診断薬を含む全ての適応症を対象領域とした基礎研究を共同で実施。また、大塚製薬は、臨床開発、製造および販売を独占的に実施する。

多発性骨髄腫は、近年の治療の進歩は著しいものの、未だに治癒は極めて困難であり、新たな治療薬の開発が待ち望まれている。大阪大学の保仙准教授はプレスリリースで、「血液がんを中心にグローバルに展開する大塚製薬と提携することで、効率よく開発が進められるものと確信している」と述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 血液中アンフィレグリンが心房細動の機能的バイオマーカーとなる可能性-神戸大ほか
  • 腎臓の過剰ろ過、加齢を考慮して判断する新たな数式を定義-大阪公立大
  • 超希少難治性疾患のHGPS、核膜修復の遅延をロナファルニブが改善-科学大ほか
  • 運動後の起立性低血圧、水分摂取で軽減の可能性-杏林大
  • ALS、オリゴデンドロサイト異常がマウスの運動障害を惹起-名大