進行・再発の結腸・直腸がんでは51か国・地域で承認
大鵬薬品工業株式会社は8月17日、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ(R)配合錠T15・T20」(一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩、開発コード:TAS-102)について、厚生労働省に「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」に対する適応追加申請を行ったことを発表した。
ロンサーフは、トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を配合することにより薬剤の効果を維持できるよう設計した経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤で、従来のフルオロピリミジンとは異なる作用機序を有している。FTDはDNAの複製時にチミジンの代わりにDNA鎖に取り込まれ、DNAの機能障害を引き起こして抗腫瘍効果を発揮すると推測されている。また、TPI はFTDの分解に関与するチミジンホスホリラーゼ(TP)を阻害し、FTDの血中濃度を維持する。
日本では、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の適応症で大鵬薬品が2014年より同剤を販売。米国では「フルオロピリミジン療法、オキサリプラチン療法、イリノテカン療法や抗VEGF抗体療法、およびRAS野生型の場合は抗EGFR抗体療法の治療歴があり、遠隔転移を有する結腸・直腸癌」の適応症で、大鵬薬品の米国子会社である大鵬オンコロジー社が2015年より販売。2018年7月現在、進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として、世界51か国・地域で承認されている。
ロンサーフ+BSCでOSを有意に延長
今回の申請は、標準治療に不応となった既治療の切除不能胃がん患者において、ロンサーフとプラセボを比較した第3相臨床試験「TAGS試験」(TAS-102 Gastric Study)の結果に基づいている。
TAGS試験は、大鵬が主導した無作為割付・二重盲検の国際共同第3相臨床試験で、標準治療に不応となった切除不能胃がん患者において、ロンサーフとベストサポーティブケア(BSC)、プラセボとBSCを比較した試験。切除不能胃がんに対して少なくとも2レジメンの治療歴がある、18歳以上の507名を対象に、日本・北米・欧州・ロシア・トルコなどで実施された。同試験の主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、安全性と忍容性、QOLなど。試験の結果、主要評価項目のOSを有意に延長し、安全性にかかわる新たな所見は観察されなかったとしている。
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・大鵬薬品工業株式会社 ニュースリリース