■“かかりつけ指導”算定伸展
2018年度の調剤報酬改定から約3カ月が経過した18年6月末時点で、2期目を迎えた「かかりつけ薬剤師指導料」の算定薬局は53%と、ようやく過半数に達し、基準調剤加算から“衣替え”した地域支援体制加算の算定が35%であることなどが、薬事日報が全国の保険薬局を対象に実施した18年度調剤報酬改定の影響調査で明らかになった。一方、調剤基本料の区分に対する要件改変を受けて、基本料1(41点)は改定前は90%だったが、改定後は84%と6ポイント低下した。18年度改定全体に対する経営面での評価としては、“悪い”が約5割に達した。一方の“良い”は1割程度であったが、16年度改定に対する薬事日報影響調査では“不満”が約7割と非常に高かったことを見ると、今回は厳しい環境の中でも相応に評価しているようだ。
今調査は18年度改定前の3月末時点までと、その後の6月末時点での状況の比較を中心に、改定年度に限り緊急調査として実施しているもので、14年度改定時の調査から3回目となる。調査対象は各地方厚生局の施設基準の届出データを元に全国5万6819軒からランダムに抽出した3000軒の保険薬局に対し郵送で依頼した。7月中旬までに回答が得られた402軒について集計、分析を行った。回収率は13.4%であった。質問項目は、[1]店舗環境・施設基準など[2]後発医薬品への対応[3]薬学管理料等の状況・その他――の大項目からなる。
調剤に関する18年度改定では「効率性等に応じた薬局の評価の推進」がうたわれ、「いわゆる門前薬局・同一敷地内薬局の評価の適正化」を推進すると共に、従前からの「かかりつけ薬剤師・地域医療に貢献する薬局の評価」「後発医薬品の使用促進」などが実施された。その結果、調剤基本料の評価見直しでは集中率の基準引き下げなどで特例等対象が拡大された。
調査では回答があった400軒のうち3月末時点で基本料1(41点)は90%、基本料2(25点)4%、基本料3(20点)6%だったが、改定後の6月末時点(n=398)では基本料1は84%に低下した。基本料2は5%、基本料3のイ(20点)が6%、同3のロ(15点)が5%となり、要件の変更が響いている。
そのような改定に対し全体的な評価(経営・運営面)は「良い」「やや良い」の“良い”が12%に対し“悪い”は48%、どちらとも言えないが40%となった。これを16年度改定後の緊急調査(満足・不満度)と比べると、どちらとも言えないが20%であったのに対し、“不満”は69%に達しており、今改定は前回よりも悪くない印象のようだ。ただ、今年度の売上予想は「減少する」との見込みが52%と過半数に及び、「横ばい」は33%で、過半数の薬局では経営が悪化の方向にあると認識しているようだ。
また、地域支援体制加算の算定率については、数値的には改定前(基準調剤加算)、改定後ともに35%で変わりなかった。ただ、改定前後の状況を見ると(n=382)、「加算→加算」が31%、「非加算→非加算」が60%、残る「加算→非加算」5%、「非加算→加算」4%と若干の入れ替わりがあった。
前回改定の目玉となった「かかりつけ薬剤師指導料」(73点)に関しては、16年の10月時点の調査では40%しか算定経験がなかったが、17年10月末時点では46%、今回の影響調査では過半数に達する53%の薬局が算定するに至った。併せて同意書取得件数についても尋ねたが、平均値47件(n=207)に対し中央値8件と大きく離れており、薬局間での同意書取得状況が大きく異なっていた。実際1~8件が107軒であり過半数を超える。