国際製薬医学会は、医薬品開発の職場における実務遂行能力の評価に基づく「医薬品開発スペシャリスト」(SMD)プログラムで、日本人参加者1人に世界初の認定を発行した。2016年に実施したパイロット事業から2017年正規プログラムに移行し、国際標準のカリキュラムを2年で修了。職場の上司(メンター)による最終評価を国内委員会、国際委員会が妥当と判断し、初めて世界に通用する医薬品開発のスペシャリストが誕生した。認定後は5年ごとに更新が必要となるが、国内の研究開発業務が減少する中、国際認定証を保有する人材の価値がより高まりそうだ。
SMDプログラムの参加は、医学部、薬学部など大学での教育や卒後の製薬企業や医療機関における業務を通じ、医薬品開発のジェネラリストとしての知識や経験を備えていることが前提となる。
その上で、職場の育成計画に沿ってスペシャリストとしてのコンピテンシー(行動特性)を得る過程をプログラムとして共有するもので、2年前に日本とイタリアでパイロット事業を開始。昨年から正規プログラムに移行し、今回日本人参加者の1人が2年でカリキュラムを修了。世界で初めて国際認定証の発行を受けることになった。
認定者は、大手製薬企業でメディカルアフェアーズ業務に携わる30代女性。これまでの豊富な臨床開発業務の経験から2年でカリキュラムを修了した。9月下旬に東京で開かれる第19回国際製薬医学会で認定証が授与される。
SMD候補の参加者と職場上司のメンターは、七つのドメインから「コミュニケーションとマネジメント」のドメイン7を必修とし、さらに参加者の職務に対応する二つ以上を選択してプログラムに登録。職場の協力を得て、参加者はメンターと共に育成計画を作成する。
これら評価結果や育成計画を初期登録。メンターは年次評価を提出し、参加者国際カリキュラムに定義されるコンピテンシーを達成するまで定期的に進捗を確認しながら育成を進め、最終評価の結果が国内評価委員会、国際評価委員会で妥当と判断されると、最終的に医薬品開発スペシャリストとして国際認定される流れになる。
パイロット事業で開始した6人の参加者はプログラムを継続中で、新たに17年度の第2期生として医療機関と製薬企業から4人が参加している。