全身治療歴を有する成人の再発性・難治性のMFおよびSSで
協和発酵キリン株式会社は8月9日、米国食品医薬品局(FDA)において審査されていた、全身治療歴を有する成人の再発性もしくは難治性の菌状息肉腫およびセザリー症候群を適応症としたPOTELIGEO(R)(一般名:モガムリズマブ(遺伝子組換え))の生物製剤申請(BLA)について承認を取得したと発表した。
菌状息肉腫(MF)とセザリー症候群(SS)は皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)の主な病型。CTCLは非ホジキンリンパ腫としては珍しいタイプの疾患であり、皮膚に病変が発生する。MFはCTCLの病型としては最も多く、症例の50~70%を占める。皮膚や血液、リンパ節や臓器に転移する進行の遅いリンパ腫だが、時に重篤な感染症を引き起こすことがある。SSはCTCLの約3%を占め、MFより進行が早い白血病型のCTCLだ。
POTELIGEOは、MFおよびSSを含めた特定の血液がん細胞に高発現しているCCケモカイン受容体4(CCR4)を標的とし、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)増強に関連する協和発酵キリンのポテリジェント技術を用いて創製されたヒト化モノクローナル抗体。FDAは成人のMFおよびSSを対象に、同剤を画期的新薬に指定(Breakthrough Therapy Designation)し、優先審査の対象としていた。
PFS中央値7.6か月、対照薬の3.1か月を有意に上回る
今回のFDAによるPOTELIGEOの承認は、MAVORIC試験の結果に基づくもの。CTCLのピボタル試験となる同試験は、MFおよびSSを対象とした最大規模の第3相オープンラベル多施設ランダム化試験であり、全身治療歴のあるMFもしくはSSの患者を対象にモガムリズマブと対照薬(ボリノスタット)を比較した。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)だった。
同試験は米国、欧州、日本およびオーストラリアで実施され、全372名の患者がモガムリズマブもしくはボリノスタットの治療に割り当てられた。その結果、モガムリズマブは中央値7.6か月(95%信頼区間:5.6~10.2か月)で、ボリノスタットを有意に上回るPFSを示したという(ボリノスタットの中央値3.1か月、95%信頼区間:2.8~4.0か月、ハザード比:0.53、95%信頼区間0.41~0.69、p<0.001)。モガムリズマブとボリノスタットそれぞれにて確認された奏効率は、それぞれ28%と5%だった(p<0.001)。
なお、同剤の米国における販売については、協和キリンインターナショナルが担当し、2018年内に発売する予定。また現在、欧州医薬品庁(EMA)においても販売承認の審査を受けている。
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・協和発酵キリン株式会社 ニュースリリース