■5年連続増も官民格差拡大
人事院は10日、2018年の国家公務員給与である月例給(基本給)を0.16%、ボーナス(期末・勤勉手当)も0.05カ月分引き上げるよう国会と内閣に勧告した。4月分の減額前給与が民間よりわずかに下回ったことから、俸給表の水準を引き上げると共に、ボーナスに当たる特別給の支給額を増額する。病院等に勤務する公務員薬剤師は医療職俸給表(二)が適用され、6年制薬剤師の初任給(2級15号俸)は20万9000円となり、2017年に比べて1200円アップ。引き上げ額は2017年の1000円に比べて増加した。引き上げ勧告は5年連続となる。
■人事院勧告
国家公務員の給与は、民間企業の4月分の給与を調査した上で比較し、官民差を埋めることを基本に勧告を行っている。特別給(期末・勤勉手当)についても、民間ボーナスの過去1年間の支給実績を把握し、国家公務員の支給月数を合わせている。
給与勧告を行うため、全産業をカバーする全国約1万2500の民間事業所の約53万人を対象に個人別の給与を調査した。それによると、2018年4月の減額前の国家公務員給与は民間を655円(0.16%)下回り、ボーナスは2017年8月から2018年7月までの民間の支給割合が4.46カ月となったのに対し、公務員の支給月数は4.40カ月とわずかに下回ったことから、民間の支給割合に見合うよう0.05カ月引き上げることにした。
公的病院等に勤務する薬剤師は、栄養士、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士等と共に医療職俸給表(二)が適用される。薬剤師の初任給は20万9000円と2017年より1200円アップした。
2018年の国家公務員給与等実態調査では、医療職俸給表(二)の適用職員数は463人。平均年齢は46.1歳と2017年に比べ0.2歳上がり、平均経験年数は20.9年と0.1年増えた。
また人事院は2018年、国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げる必要があるとの意見も勧告した。定年の引き上げに当たっては、短時間勤務制の導入により、60歳を超える職員が多様な働き方をできるよう措置を講じるほか、60歳を超える職員の年間給与は7割の水準に設定するなどとした。
■民間初任給は大幅アップ-2万円以上に格差広がる
従業員50人以上の事業所を対象に2018年4月現在の民間給与実態の調査結果も公表された。準新卒の薬剤師初任給は、時間外手当や家族手当、通勤手当等を除き平均23万1913円で、2017年より7494円増と大幅にアップした。
企業規模が500人以上では23万1208円と7978円のアップ、100人以上500人未満でも23万3512円と8354円の大幅アップとなった。500人以上の企業より100人以上500人未満の企業で初任給が高い状況は変わっていない。
民間給与は2017年から一転して大幅にアップし、公務員薬剤師の初任給とは2万2000~4000円程度の差に広がっている。
医療関係職種の時間外手当を差し引いた4月支給分の平均給与額を見ると、薬剤師が平均年齢37.3歳で34万3263円、薬剤師2人以上の部下がいる薬局長は平均年齢50.4歳で48万0044円となった。2017年に比べて、一般の薬剤師の平均給与は前年以上の約9000円アップとなったが、薬局長は2017年の約1万4000円の大幅アップから約8000円の大幅ダウンに転じた。