■薬食審運営委員会
欧州製薬団体連合会(EFPIAジャパン)は、日本赤十字社以外の採血事業者が参入した場合の事業者のあり方について、血漿分画製剤メーカーなど複数の企業による非営利の「連合体」(コンソーシアム)を組織すべきとの考えを8日、薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会運営委員会に示した。第2採血組織として「血漿献血機構」(仮称)を立ち上げるモデル案を提示したもので、分画製剤メーカーの需要動向によって献血量を柔軟に調整できることなどのメリットを挙げている。コンソーシアムは、全国10カ所以上に献血センターを設置し、年間30万~50万Lの原料血漿確保を目指している。第2採血事業者のあり方については、今後も運営委員会と血液事業部会で議論する予定。
いわゆる第2採血事業者のあり方をめぐっては、6月の血液事業部会で了承された血液法の見直し案で、参入を検討している事業者から事業内容の説明を受けた上で、日赤との役割分担や安全対策の確保などを検討することとされている。
今回の会合では、1月の運営委員会で「原料血漿を確保するため、第2の採血組織を稼働すべき」との考えを示していたEFPIAからヒアリングを行った。
EFPIAは、国内外の分画製剤メーカー、製薬企業、保管・輸送を行う企業など、複数の企業による非営利のコンソーシアムを組織すべきとするモデル案を提示。コンソーシアムとして採血事業に参加することは、分画製剤メーカーの需要動向によって献血量を柔軟に調整できること、余剰となった原料血漿を有効活用しやすくなること、オールジャパンとして採血システムをアジアで展開しやすいことなどをメリットに挙げている。
具体的には、成分採血機器を備えた献血センターを全国に10カ所以上設置し、稼働率100%で想定した場合、2025年に年間30万~50万Lの原料血漿を確保すること、原料血漿価格は1万1000円/Lを目安に分画製剤メーカーに供給する体制を構築するとしている。ただ、この価格で供給するには平均650mLの採血が必要としている。また、余剰となった原料血漿は連合体に返却して有効活用すべきとした。
これらの提案に対して、日赤は「われわれの現在の採血量は500mL程度で、650mLをコンスタントに採血することは難しい」と疑問を投げかけ、「稼働率60%も困難な状況にあるので、提案内容を検討、検証した上で進めてほしい」と慎重な対応を求めた。
岡田義昭委員(埼玉医科大学医学部准教授)は、「現在の献血者数を日赤と奪い合わないよう、無償でも献血者をいかにリクルートするかを十分に検討すべき」と指摘した。