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細胞のがん化に関わるエピゲノムの目印を検出する技術を開発-理研

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2018年08月10日 PM01:45

がん化に関わるBETファミリータンパク質で

理化学研究所は8月8日、細胞のがん化に関わるエピゲノムの目印を検出する技術を開発し、ヒトの肺がん細胞株におけるエピゲノム地図を解明し、公開したと発表した。この研究は、理研生命機能科学研究センターエピジェネティクス制御研究ユニットの梅原崇史ユニットリーダーらの共同研究グループによるもの。研究成果は、英科学雑誌「Epigenetics」オンライン版に掲載された。


画像はリリースより

多くのがんでは、エピゲノムの異常によるがん遺伝子の発現上昇が確認されている。そのうち、クロマチン関連タンパク質の一種であるBETファミリータンパク質は、高アセチル化ヒストンへの結合を介してがん化に関わり、この結合を阻害する薬剤を投与すると、遺伝子発現パターンが正常細胞に近づくケースが知られている。しかし、このタンパク質がエピゲノムに結合するときの主要標的である、ヒストンH4の高アセチル化修飾に対する阻害剤の効果は不明だった。

ヒストンH4の高アセチル化は極めて頑強な目印

今回、共同研究グループは、ヒトの肺がん細胞のH23細胞株のエピゲノムを解析。明らかになったエピゲノムのパターンをゲノムDNAの塩基配列上に記載し、「エピゲノム地図」を作成した。また、BETファミリータンパク質に対する阻害剤をヒト肺がん細胞株に投与しても、ヒストンH4の高アセチル化は影響を受けないことを発見。この修飾が極めて頑強な「がんエピゲノム」の目印であることを突き止めたという。

BETファミリータンパク質は、ヒトではBRD2、BRD3、BRD4、BRDTの4種類が知られ、腫瘍促進遺伝子の発現調節に関与することから、NUT中線がん(NMC)や急性骨髄性白血病()をはじめとする多くのがんの治療標的と見なされている。今回の研究成果について、研究グループは、「ヒストンH4の高アセチル化修飾の制御ががんの根本治療に必要な可能性を示しており、エピジェネティクス制御を介した新しいがん治療法の開発に向けての手がかりとなると期待できる」と述べている。

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