村阪氏は、前身のウェブサイト「SAGASU-DI」を2016年10月に開設した。段階的に情報を増やし今年6月の時点で各種Q&Aや医療ニュースなど約440件の情報を掲載。アクセス数は右肩上がりで増え、同時点で月間約1万8000アクセスに達していた。
このうちQ&Aを中心に約170件の情報を新設したサイトに移行。前身のサイトは誰でも閲覧できたが、新サイトは薬剤師のみが閲覧できるようにした。
大学卒業後、三重大学病院薬剤部で約3年間経験を積んだ後、11年に開局した村阪氏。ネット上にDI室を開設した理由について「DI業務は重要だが、マンパワーや時間に限界がある中で、薬局薬剤師が時間をかけてDI業務を行うのは容易ではない。今後、地域のチーム医療の一員としての役割が強まって業務はさらに忙しくなる上、他職種からの問い合わせも増える。この課題を解決するためにネットの活用を考えた」と語る。
こうした背景から、村阪氏が他職種から受けた質問とそれへの回答や情報源をサイトに掲載し、役立ててもらうようにした。三重大病院薬剤部のDI室が受けた質問も提供してもらい、村阪氏が回答を作成、掲載した。
前身のサイトでは、粉砕・簡易懸濁法・一包化の可否に関するQ&Aの閲覧回数が多かった。▽ベルソムラ錠は一包化可能か▽パントール注射液はなぜ腸管麻痺イレウスに効果があるのか▽タケキャブ錠の粉砕と簡易懸濁法の可否は▽ループ利尿薬の換算・使い分けは▽ルネスタの投与日数制限は――などのQ&Aがよく見られていたという。
新設したサイトで閲覧を薬剤師のみに限定したのは「医薬品情報を担うのは薬剤師であってほしい」(村阪氏)という思いからだ。「薬剤師はもっと医薬品情報を活用し、薬物療法の個別最適化に関わってもらいたい」と話す。
新サイトには今後、新たなQ&Aを段階的に追加して情報を充実させる計画。閲覧者が記入するコメントを参考に、情報の更新を図っていく。会員からの質問を受け付けて回答する仕組みも設けた。
「臨床現場の薬剤師みんなで育てていくサイトにしたい。そのためのプラットフォームを作った。情報作成協力者を募り、情報を増やしていきたい」と村阪氏。「現在は、全国でそれぞれの薬剤師が同じような質問を受け、同じように調べて回答している。その業務の効率化や、質の高い業務の実践のために力を合わせ、お互いが向上していければいい」と話す。
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前身のサイト「SAGASU-DI」は引き続き運営する。Q&Aの一部を残すほか、製剤学的特性情報、医療ニュース、薬剤師国家試験解説などを掲載する。