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EBウイルス感染細胞が放出するエクソソームの性質を解明-北大

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2018年08月08日 PM12:00

成人までに95%の人が感染するヘルペスウイルス

北海道大学は8月6日、がんを引き起こすEB(Epstein-Barr)ウイルスに感染することで細胞が放出するエクソソームの量が増加し、特定のマイクロRNAがエクソソームに高度に濃縮されることを解明したと発表した。この研究は、同大大学院医学研究院の南保明日香准教授らの研究グループによるもの。研究結果は、「Cancers」誌に掲載されている。


画像はリリースより

EBウイルスは、成人するまでに95%の人が感染すると言われるヘルペスウイルスの一種。一部の例においてがんを引き起こすことが知られている。これまでに、EBウイルスに感染した細胞のがん化は、EBウイルスの特定の遺伝子が原因であることが報告されてきていた。これに加え、近年では、EBウイルス感染細胞がエクソソームと呼ばれる微小な粒子を放出し、エクソソームを取り込んだ他の細胞の性質を変えることが解明されつつあり、エクソソームのEBウイルス関連がん発症への関与が注目されている。

研究グループはこれまでに、EBウイルスが感染している細胞が放出するエクソソームが、ウイルスが感染していない上皮細胞に取り込まれて細胞の表面に発現するタンパク質の量や、細胞増殖能力を増加させることを明らかにしていた。

バーキットリンパ種患者の核酸の種類を解析

今回の研究では、EBウイルスが引き起こす疾患の発症におけるエクソソームの役割を、さらに詳しく解析することを目的として、バーキットリンパ種患者から単離されたEBウイルスに感染している、あるいは感染していない培養細胞から放出されたエクソソームを精製。このエクソソームに含まれる核酸(マイクロRNA)の種類を次世代シーケンシングにより網羅的に解析し、感染の有無間で比較した。

その結果、EBウイルス感染細胞において、エクソソーム放出量が増えていること、またEBウイルス感染細胞から放出されるエクソソームに特定のマイクロRNAが高度に濃縮されることが判明したという。

研究グループは、「EBウイルス関連がんの発症における、エクソソームが媒介するマイクロRNAの機能に着目して検証を進めることで、疾患発症メカニズムのさらに詳細な解明につながると期待される」と述べている。

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