1日に都内で開かれたレギュラトリーサイエンスセンター開設記念シンポジウムで、PMDA次世代評価手法推進部の安藤友紀氏が報告した。PMDAは製薬企業に対し、新薬の承認申請資料をCDISC標準の電子データで提出を求めることにより、自ら生データを解析してモデリング&シミュレーション手法の研究や品目横断的な解析、疾患モデルの構築に着手し、医薬品開発の効率化を目指す取り組みを進めている。
16年度から製薬企業から申請電子データの受付を開始していたが、今回6月末時点の提出状況が報告された。申請電子データ提出確認相談は48社158件から申し込みがあり、複数回の相談が実施されている品目もあった。また、実際に製薬企業から提出された申請電子データの状況を見ると、6月末時点で46品目(26社)の申請に関して電子データが提出されていた。品目の特徴として当初は抗癌剤が多かったものの、最近は他の疾患領域の品目も増えてきているようだ。同一疾患に対する複数品目のデータ提出などもあり、臨床薬理試験データや各種解析のデータも提出されてきているという。
申請電子データについては、初回面談の事前打合せ前後に利用されており、打合せ前では、主な解析の再現性確認や審査の論点に関する解析などを実施。打合せ後には、実施した解析内容の共有や照会事項に関連した解析を行い、照会回答を受けてのさらなる検討につなげている。
具体的に、PMDA内部で自らデータ解析を行った事例としては、被験者が満たす選択基準と有効性評価項目の関係について検討し、特定の評価項目で示される有効性を検討して結果の一貫性を確認したり、国内外の試験データを利用した母集団薬物動態解析結果に対し、日本人の予測にも問題なく使用できるモデルか検討し、モデル診断で足りない情報を内部解析で補いモデルの適格性を評価した解析が行われている。
これらから、PMDAに申請電子データが提出される品目が増加し、個別品目の審査におけるデータ利用が進んでいる状況が確認された。20年4月以降は経過措置期間が終了し、CDISC標準の電子データによる申請資料の提出が完全義務化されることから、PMDAは必要なデータが円滑に提出できるよう通知の整備を進める考え。