卵巣がん、肺がんなどに高発現するTA-MUC1に結合
第一三共株式会社は7月30日、独Glycotope GmbH(グライコトープ社)と、抗体薬物複合体(ADC)に関するライセンス契約を締結したと発表した。
ADCとは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群。がん細胞に特異的に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して、薬物をがん細胞へ直接届けることで全身曝露を抑えつつ、がん細胞への攻撃力を高めた薬剤だ。
第一三共は、グライコトープ社ががん治療薬として開発中の抗TA-MUC1抗体「gatipotuzumab」(ガチポツズマブ、前PankoMab-GEX(R))を、同社のADC技術を活用してADC化した薬剤の事業化を目的として、2017年10月にグライコトープ社とオプション契約を締結し、この契約の下、同剤の薬効を確認する予備的試験を実施した。
gatipotuzumabの抗原であるTA-MUC1(Tumor-Associated MUC1)は、卵巣がん、肺がん、乳がんなど多くのがん種に高発現していることが確認されており、同剤はTA-MUC1に特異的に結合する。
全世界で独占的に開発および商業化する権利を取得
今回、予備的試験の結果を踏まえ、第一三共はオプション権を行使。同剤を全世界で独占的に開発および商業化する権利を取得するライセンス契約を締結した。同契約の下、グライコトープ社は、第一三共から契約一時金、各種マイルストンおよび販売ロイヤルティを受け取る。
同提携は、第一三共独自のADC技術の事業価値を最大化するという戦略の一環であり、同社ADCフランチャイズは、同剤やDS-8201を含め7品目となった。この戦略の実行を通じて、同社は、多くのがん患者に新しい治療の選択肢を提供していくとしている。
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・第一三共株式会社 ニュースリリース