握力と閉眼片足立ちの成績が発症リスクと関連
東北大学は7月30日、握力テストと閉眼片足立ちテストの成績が2型糖尿病の発症リスクと関連することを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医工学研究科の門間陽樹助教(現医学系研究科講師)と永富良一教授が、新潟大学大学院医歯学総合研究科の曽根博仁教授および同大学大学院生活習慣病予防検査医学講座の加藤公則教授、医薬基盤・健康・栄養研究所と共同で行ったもの。研究成果は「Journal of Epidemiology」に掲載された。
画像はリリースより
2型糖尿病を予防するためには、日頃の活動量やランニング等の運動を行うことが有効だとされている。運動によって体力が向上することはよく知られており、運動を長時間続けるために必要な全身持久力が高いことは、2型糖尿病の予防に役立つという報告がある。
握力の値が低いと2型糖尿病リスクが56%高く
今回の研究では、新潟ウェルネススタディの一環として、新潟県労働衛生医学協会の協力のもと、体力測定を行った糖尿病ではない20~92歳の健診受診者2万1,802人について、体力項目ごとに成績順にそれぞれ4グループに分けて、最大6年間追跡した。その結果、筋力を測定する握力およびバランス能力を測定する閉眼片足立ちテストの成績が2型糖尿病のリスクに関連することが明らかになったという。
握力の値が体重の約8割のグループと比較すると、約半分のグループの2型糖尿病リスクは56%高い値を示した。このほか、下半身のパワーを測定する垂直跳びや柔軟性を評価する立位前屈の成績も2型糖尿病のリスクに関連することが明らかになったが、この関連は肥満の指標であるBMIを考慮すると認められなくなったとしている。筋力やバランス能力とは異なって、2型糖尿病リスクに対するパワーや柔軟性は、一部、肥満が影響していたことを示す結果となった。その他の全身反応時間や筋持久力については、2型糖尿病のリスクと関連は認められなかった。
今回の研究は、筋力やバランス能力を評価することで、従来の全身持久力による評価より比較的簡便に2型糖尿病の高リスク者を把握できる可能性を示す報告だ、と研究グループは述べている。
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