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【岡山大病院薬剤部】医薬品情報業務にAI導入-自然な話し言葉で情報検索

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2018年08月01日 AM10:00


■機能向上へシステム改良も

岡山大学病院薬剤部は今年4月から、国内で初めて医薬品情報業務に人工知能(AI)を導入した。病棟担当など同院の薬剤師は、医師や看護師から質問を受けた場合、AI搭載型医薬品情報提供支援ツール「aiPharma」(アイファルマ)を携帯端末やパソコンで操作。調べたいことを自然な話し言葉で入力すると、その意図をIBMのAI「ワトソン」が読み取り、薬剤部内に蓄積されたQ&Aデータベースの中から最適な回答が提示される。AI活用のノウハウを持つ木村情報技術と共同で仕組みを構築した。音声入力も近く実現する見通し。今回を出発点とし、さらなる機能向上に取り組む計画だ。

aiPharmaの画面

同院薬剤部は、医師や看護師、病棟担当薬剤師などから薬品情報室が受けた薬に関する質問とその回答8000件以上をデータベースに保存。薬品情報室の専従薬剤師や病棟担当薬剤師は、医薬品情報業務にこのデータベースを活用してきた。

過去のQ&Aを参照したい場合、以前のシステムでは複数の単語をスペースで区切って入力して検索する必要があった。AIを搭載した新システムでは、自然な話し言葉をそのまま入力すれば検索できるようになった。

AIのワトソンには、自然言語を認識し、曖昧な問いかけや文章のゆらぎを判別して意図を読み取る能力がある。

例えば「メインでヴィーンDとプリンペランいってるけど、側管からパズクロスいってもいい?」と質問されたままの表現を入力し検索した場合。「配合変化」というキーワードがなくとも、これらの注射薬の配合変化について聞かれているとワトソンは判断し、Q&Aデータベースの中から最適な回答を探し出して提示する。併せて、関連度が高い回答も示す。ワトソンと連携して機能し、各産業のコールセンターなどで利用されている木村情報技術のAI-Qシステムを活用してこの仕組みを構築。「aiPharma」と命名した。

同院の病棟担当薬剤師は全員、携帯端末iPadを持っている。病棟で医師や看護師から質問を受けてすぐ答えがほしい場合、「aiPharma」をiPad上で操作し、最適な回答を引き出すことが可能だ。

薬品情報室の神崎浩孝氏は「経験の浅い薬剤師でも安心して業務を行えるように支援するのがこのシステム。イメージは、ロボット的なものではなく、医薬品情報業務のパワースーツ」と語る。

新システムによって使い勝手は良くなったが、導入当初は単語での検索に慣れた薬剤師から「回答を引き出せない」との批判があった。質問方法や言い回しを教育することで、その問題は解決したという。

「社会はまだ単語検索に慣れている。これからはスマホに搭載されているSiriのように自然言語で検索する文化になる。その過渡期にあると思う」と神崎氏は話す。

今後、さらなる機能向上にも取り組む。今年秋頃には音声入力が実現する見通しだ。病棟で質問を受けた場合、携帯端末に向かってその質問を音声で復唱するとすぐに最適な回答を得られるように、システム改良を進める。

検索対象となるデータベースの充実にも力を入れる。Q&Aを閲覧した薬剤師が「この情報は古い」などコメントを記入できる機能が設けられている。こうした意見を受けて薬品情報室の専従薬剤師は、各Q&Aの情報更新に努めている。

新システムでは、術前中止薬一覧表や麻薬の換算表などの資料をPDFファイルやエクセルファイルとしてQ&Aに添付できるようになった。外部ウェブサイトへのアクセスも可能になった。これらの情報のほか、各疾患の薬物療法ガイドラインの内容も追加し、データベースの厚みを増したい考え。製薬会社が保有する豊富な情報の活用も促進したいという。

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