■薬機法見直しに向け
厚生労働省は25日、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会を開き、薬機法改正の検討テーマとなっている、「薬局・薬剤師のあり方」のうち、5日の部会で積み残しになっていた、「地域で医薬品提供体制を確保するための薬局の体制整備」「薬局の組織ガバナンスの確保」などについて議論した。薬局の体制整備では、委員から、薬局の規模や備えている機能によって、対応できる業務が異なるため、薬局として備えるべき最低限必要な機能が「どの程度なのか実態を把握すべき」といった意見や、それぞれの薬局が有する機能や規模に応じて「分類する方向で議論することも必要」などの意見が出た。
厚労省が示した論点では、地域において必要な医薬品が安全に提供される体制を確保するため、地域の薬局間で連携を強化することや、医療用麻薬の譲渡の仕組みなどについて検討することを挙げた。
具体的には、特殊な調剤への対応、退院時の支援や癌などのより丁寧な薬学的管理を必要とする患者に対応するため、地域の薬局につなげることや、医療機関と密に連携を取ることを実施しつつ、疾病領域に応じた高度な専門性などの機能を有する薬局の位置づけの検討などを求めた。
また、患者が処方箋を持ってきた場合だけ、不足する医療用麻薬を薬局間で譲渡できる現行の仕組みを見直すことも検討課題として示した。
花井十伍委員(NPO法人ネットワーク医療と人権理事)は、「全ての薬局が医薬分業で最低限期待されるような仕事をしていないことが問題」とした上で、「高度な薬学管理をしている薬局があり、少ない人員ながらパフォーマンスを披露している薬局もある一方で、箱から薬を出して調剤して終わりという薬局もある」ため、薬局の機能として「最低限なものは何かというコンセンサスがない」と指摘。
薬局が持つべき最低限の機能を「どの程度の薬局が具備しているかという実態を把握すべき。その上で、機能分化という話になる」と述べた。
山口育子委員(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、プライバシーを考慮した服薬指導を行うための間仕切りが設置できないほど「小さい薬局」がある一方で、「別室を作れる大きな薬局もある」ことを考えると、「同じ“薬局”という言葉では語れない」と指摘。
現在の仕組みでは、「調剤報酬でしか分類できない」ものの、薬局の規模や機能に応じて、「こういうことをやってもらうなどの分類をする方向で話し合うことも必要」とした。
薬局の組織ガバナンスでは、同一法人が複数の薬局を開設している場合などの薬局業務に関する開設者、管理者双方の責務の明確化や、その責務を果たすことを促す措置について検討を求めた。
伊藤由希子委員(津田塾大学総合政策学部教授)は、調剤薬局チェーンなどで不正が発覚した場合などに、「例えば、どこで何店舗持っているかを調べようとすると、法人番号も開設者番号も分からない」とし、「このような形で施設、法人の管理をしていると、ガバナンスの前提が崩れる」と問題視した。