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「まぜるな危険準同型暗号」でプライバシーを保護したまま医療データを解析-NICT

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2018年07月20日 PM12:45

誤データ混入とプライバシー侵害という課題の解決に期待

情報通信研究機構()は7月18日、医療データを暗号化したまま解析することに成功し、開発した暗号方式の性能を実証したと発表した。この研究は、NICTセキュリティ基盤研究室と筑波大学が、三重大学の山田芳司教授と協力して行ったもの。研究成果は、電子情報通信学会情報セキュリティ研究会(ISEC)での発表に先立ち、講演論文がオンライン公開されている。


画像はリリースより

近年、医療ビッグデータ法が整備されるなど、プライバシーを保護したまま医療データを安全に活用し、新たな治療法の開発などに役立てようという動きが盛んだ。医療データの情報漏えいなどに対する安全策として、暗号化は有効であり、暗号化したままデータに関する演算が可能な暗号方式である「準同型暗号」を用いたプライバシー保護データ解析の研究が進められている。

一方で、医療データを暗号化すると、暗号化されているがゆえに、解析対象のデータかどうかを判定することができないため、対象外のデータが統計処理に使用された場合でも検出できずに解析が行われ、誤った統計値が出力される懸念があった。そのため、解析前に一度暗号文を復号し、解析対象データであることを確認する場合には、データ解析を行う第三者にデータの内容を開示する必要があり、これがプライバシー上の懸念事項となる。

約4,500名の医療データを1分弱で正確に解析

今回研究グループは、NICTが中心となり開発した誤データ混入防止機能を持つ準同型暗号方式「まぜるな危険準同型暗号」を用いて、実際の医療データに対する解析を実施。病気の罹患情報と遺伝情報を解析対象データとし、「ある病気を罹患していること」と「ある遺伝的特徴を持つこと」との統計的な関連性を解析するシナリオを想定した。

その結果、解析値として「遺伝的特徴を持ち、かつ、病気を罹患している人の数の暗号文」を計算したところ、4,500名程度のデータに対し、1分弱で暗号化および解析が完了。また、異なる病気の医療データの暗号文が混在した場合でも、数ミリ秒程度で検出できることを確認したという。

この暗号技術により、医療分野において、多くの被験者から収集したデータを、プライバシーを保護したまま解析できるようになる。さらに、その解析結果に対象外のデータが混入していないことを暗号理論的に証明することで、解析結果の妥当性を向上させることが可能となる。これにより、新たな診断方法や治療法の早期かつ効率的な発見につながることが期待される。

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