年々学会参加者は増加、今年は約1,400名
医薬分業批判などを背景に、薬剤師業務のエビデンス化を求められているなか、日本在宅薬学会の狭間研至理事長は、7月15~16日に大阪で開催された、同学会第11回学術大会終了後の記者会見で、「待ったなしの状況ではあるが、今日明日にどうにかできるものではない。学会として0から1への取り組みを着々と進めている」と、学会としてのエビデンスを構築・発信に意欲を示した。また、「個人的構想」との注釈をいれながらも、政策的反映を念頭に学会として減薬についての実績集約を検討中であることを明らかにした。
日本在宅薬学会 狭間研至理事長
今年の学術大会には約1,400名が参加。狭間理事長は「患者の服薬後の状況について薬学的アセスメントが加わった演題が増えてきた。一般演題レベルから盛り上がることが在宅にかかわる薬剤師業界の盛り上がりにもつながる」と感想を語り、次回以降の学術大会のレベルアップへの期待感を示した。一方で、論文執筆や学会発表などの経験をもつ薬剤師が少ないことを課題に挙げ、アカデミアで活躍中あるいは経験のある理事などを中心に症例報告や論文作成などのワークショップなどを学会員向けに開催するなど、学会員のエビデンス構築を支援していることを強調した。
「在宅薬学」の知識・方法の体系化に意欲
「『在宅薬学』の夜明け」というテーマのもと、開催された今回の学術大会。狭間理事長は「学会への参加者は増加し、学会が主催するバイタルサイン講習会受講者は、全臨床薬剤師の2%となっている。しかし、カギカッコで在宅薬学としたのは、知識・方法が体系化されたアカデミアとして語るにはまだ寂しい状況であるから」との認識を示し、学問としての体系化に意欲を見せた。
また、会見では次回の第12回日本在宅薬学会学術大会について、2019年7月14~15日に名古屋国際会議場を会場に、狭間理事長を大会長、愛知県薬剤師会常務理事の神谷政幸氏を実行委員長として実施が決定したことを報告した。
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・第11回日本在宅薬学会学術大会