アデノシン受容体のサブタイプA2a/A2bを選択的に阻害
大鵬薬品工業株式会社は7月13日、米Arcus Biosciences社が開発中のアデノシン受容体阻害剤AB928とそのバックアップ化合物を、中国を除くアジアで独占的に開発・販売する権利を取得したと発表した。これは、2017年9月に両社が締結したオプション契約に基づき、大鵬薬品がオプション権を行使したもの。
AB928は、がん微小環境における免疫抑制メカニズムに関与すると考えられているアデノシン受容体のサブタイプA2aとA2bを選択的に阻害する低分子化合物。アデノシン受容体阻害剤がさまざまな疾患で開発されている中で、AB928はがんをターゲットに設計されたアデノシン受容体阻害剤であり、経口剤としてArcus社が開発を進めている。
PD-1抗体などの併用療法を検討するP1試験を開始
Arcus社はAB928について、健常人における第1相臨床試験をすでに実施しており、AB928の安全性、忍容性および薬物動態が確認されている。また、AB928と化学療法やPD-1抗体などさまざまな併用療法を複数のがん種で検討する第1相臨床試験を2018年に開始。この試験を通して、AB928の安全性などをさらに検討する予定だという。大鵬薬品は、今後Arcus社とともに、最適な治療法をできるだけ早期に確立、提供することを目指していくとしている。
なお、Arcus社はアデノシン受容体や、PD-1、TIGITといった重要ながん免疫療法の経路をターゲットにした複数のプログラムの開発を進めている。
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・大鵬薬品工業株式会社 ニュースリリース