2020年までに、33%から40%へのシェア拡大目指す
オムロン ヘルスケア株式会社は7月3日、グローバルでのネブライザ事業の拡大を目的として、ネブライザ開発・生産会社であるイタリアの3A Health Care S.r.l(3A社)の買収を発表した。オムロンのヨーロッパ本社であるOmron Healthcare Europeを通じ、3A社の株式を100%取得する契約に6月29日付けで合意。これにより、同社はグローバルでのネブライザのシェアを、2017年の33%から、2020年には40%への拡大を目指す。
近年、新興国の経済成長に伴い、大気汚染による喘息、喫煙によるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患の患者数が増加し、世界の呼吸器疾患患者は4億4000万人にも上る。特に、喘息は小児での罹患率が高く、また、COPDは慢性疾患であることから、これらの呼吸器系疾患では患者だけでなく患者の親など看護者の精神的、経済的な負担の増大や、QOL低下が問題になっていた。
欧州市場に向けた商品供給を強化、3A社を基本設計拠点に
今回、オムロンが買収する3A社は、イタリアで約30年の実績を持つコンプレッサー式ネブライザの開発・生産会社。オムロンは2014年より、3A社からコンプレッサー式ネブライザのOEM供給を受け、欧州市場の拡大を図ってきていた。しかし、今後加速する新興国を中心とした市場の拡大や、喘息患者のニーズに応えるためには、さらに高品質で競争力のある商品ラインナップの拡充が必要と考えたという。
オムロンは、増え続ける呼吸器疾患患者、特に喘息患者の発作をゼロに近づける「喘息発作ゼロ」を、呼吸器事業のビジョンに掲げている。これまでにも、2014年にブラジルのネブライザ製造販売会社であるNS社を買収するなど、事業の強化と拡大を図ってきていた。今回の買収により、オムロンは3A社がもつ商品開発力と、同社の生産力を融合し、欧州市場に向けた商品供給を強化していきたいとしている。さらに今後は、3A社をグローバル市場向けの低コストで品質の高い商品設計を行うコンプレッサー式ネブライザの基本設計拠点とし、生産は同社の各生産拠点で行っていく予定だ。
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・オムロン ヘルスケア株式会社 ニュースリリース