同キットは、糞便中の血液を検出することで大腸ポリープなど大腸疾患の早期発見を補助する一般用検査薬。癌、大腸ポリープ、潰瘍などの大腸疾患は粘膜の出血を伴うケースが多く、肉眼で識別できない程度の血液が糞便に含まれることがある。便潜血検査は、糞便中に含まれる血液を検出することにより、下部消化管出血の有無を確認する検査法。測定方法は、化学的便潜血検査と免疫学的便潜血検査(イムノクロマト法)の2種類があるが、ガイドラインでは測定原理として特異性の高いイムノクロマト法を採用することとした。操作方法は、糞便を採取し、検査を簡便に行うことができるものと明記。判定方法は、検査キットにおける判定ラインの有無により判定することとされた。
検査は必ず2回実施することとし、1回目の検査で陽性だった場合は受診を推奨し、陰性だった場合は別の日にもう一度検査を行う2日法を推奨している。仕様の設定としては、最小検出感度をヘモグロビン濃度として50ng/mLとすることを規定した。
ガイドライン案に対し、医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、検査項目、測定方法、仕様・性能など全ての項目で妥当と判断。添付文書案に関しても、一般人の理解度調査の結果、適切な情報が記載されているとし、ガイドラインを作成して差し支えないと結論づけている。
鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は意見書で「一般用検査薬への転用に反対の立場を示しているわけではない」としつつ、「作成の過程で業界が関連学会に意見を聞いているが、業界の意見が強く反映されたものとなっているので、適切なガイドライン作成手順とは言い難い。厚労省が関連学会に改めて意見を聞くべき」と注文を付けた。
厚労省は速やかにパブリックコメントを募集した上で、10月に開催予定の同部会で再度議論する方針。