1日5回まで服用できる即効性のある舌下投与のフィルム製剤
大日本住友製薬株式会社の米子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インクは6月23日、第2回全米パーキンソン病・運動障害学会(MDS-PAS)において、米国で承認申請中のアポモルヒネ塩酸塩水和物を有効成分として含有する舌下投与フィルム製剤関する朝のオフ症状を含む運動症状の日内変動(オフ症状)を伴うパーキンソン病患者を対象としたフェーズ3試験(CTH-300試験)の詳細データをポスター発表した。
サノビオン社は、2016年10月に、カナダの医薬品ベンチャー企業であるCynapsus Therapeutics Inc.を買収し、同剤を獲得。同剤は、アポモルヒネ塩酸塩水和物(ドパミン作動薬)を有効成分として含有する新規の製剤であり、パーキンソン病に伴うオフ症状を必要に応じて管理するために、1日5回まで服用できる即効性のある舌下投与のフィルム製剤として開発されている。
アポモルヒネ塩酸塩水和物は、進行性のパーキンソン病に伴う運動性低下のオフ症状(ウェアリングオフ現象、予測できないオン・オフ症状)を一時的に改善するレスキュー薬として米国で唯一承認されている有効成分だが、皮下投与の注射剤のみが承認されている。
MDS-UPDRS PartIIIスコアの平均変化量を有意に改善
CTH-300試験は、朝のオフ症状を含む運動症状の日内変動(オフ症状)を伴うパーキンソン病患者を対象に、同剤を評価するために実施したランダム化、プラセボ対照二重盲検比較フェーズ3試験。この試験において、同剤投与群はプラセボ投与群と比較して、主要評価項目である12週間後における投与30分後のMDS-UPDRS PartIIIスコアの投与前からの平均変化量を、統計学的に有意に改善(変化量の差:7.6)したという。MDS-UPDRS PartIIIは、パーキンソン病における運動能力の評価指標として用いられている。
また、投与15分後から統計学的に有意な改善が認められ、最後の観察時間である投与90分後まで持続。同様の効果が、0週、4週および8週時点でも認められた。また、重要な副次的評価項目である12週間後における投与後30分以内のオン状態の患者の割合についても、同剤投与群はプラセボ投与群と比較して、統計学的に有意に大きな割合を示したという。
同剤に関連する有害事象の大部分は、軽度から中等度であり、重篤ではなく投与中止によって改善するなど総じて良好な忍容性を示したとしている。同剤の用量漸増後の維持期における主な有害事象は、吐き気(27.8%)、眠気(13.0%)、めまい(9.3%)だった。
なお、試験結果の速報については、2018年1月30日に開示済み。この試験結果は、米国食品医薬品局(FDA)が受理した同剤の新薬承認申請資料に含まれており、2018年6月13日に開示した通り、同剤の処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づくFDAの審査終了目標日は、2019年1月29日となっている。
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・大日本住友製薬株式会社 ニュースリリース