医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > ミスマッチ修復機構がヒストンからDNAをほどくことを発見-九大

ミスマッチ修復機構がヒストンからDNAをほどくことを発見-九大

読了時間:約 1分17秒
2018年06月27日 AM11:45

細胞のがん化や遺伝病の原因につながる染色体複製の間違い

九州大学は6月21日、DNAの複製の間違いを防ぐミスマッチ修復機構がヒストンからDNAをほどくことを発見と発表した。この研究は、同大大学院理学研究院の高橋達郎准教授、照井利輝研究員(元日本学術振興会特別研究員DC1)、大阪大学大学院理学研究科の升方久夫教授(現:名誉教授/招へい研究員)、小布施力史教授、長尾恒治准教授、中川拓郎准教授、高知工科大学環境理工学群の田中誠司教授らの研究グループによるもの。研究成果は、米科学専門誌「Genes&Development」のオンライン確定版に掲載されている。


画像はリリースより

染色体DNAの複製の間違いは、遺伝子の突然変異を引き起こし、細胞のがん化や遺伝病の原因ともなる。生物はミスマッチ修復と呼ばれる複製の間違いを修正するための防御システムを持ち、間違いが生じるとミスマッチ修復に関わるタンパク質がDNA上に集まり、間違いを含むDNAを削り取って情報を修復する。

ヒトを含む真核生物では、DNAはヒストンというタンパク質に密に巻き取られて保存されている。一方、ヒストンに巻き取られたDNAに対してミスマッチ修復タンパク質がどうやってアクセスし、どのようにしてDNAの情報を直すのかは不明だった。

抗がん剤の効果に大きく影響するミスマッチ修復機構

研究グループは、ミスマッチ修復機構がヒストンからDNAをほどくことを発見。さらに、Smarcad1という因子がこの過程を助けることも明らかになったという。今回の研究によって、DNAを巻き取って収納する反応と複製の誤りを修復する反応がどのように両立しているのかが、初めて解明されたとしている。

近年では、ミスマッチ修復機構がある種の抗がん剤による治療効果に大きく影響することもわかってきた。今回の発見について、研究グループは「遺伝情報を安定に維持するための基本的なメカニズムを解き明かすだけでなく、ミスマッチ修復の欠損によって生じるがんの研究など、医学的に重要な研究にも役立つことが期待される」と述べている。

 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 排卵誘発剤「クロミフェン」、安価で迅速な新規合成法を開発-近大ほか
  • 急性期脳梗塞患者、脳のミエリン量が多いほど予後が良好と判明-広島大
  • 妊娠期の感染症/発達期の社会的ストレスがもたらす精神疾患の仕組みを解明-京都大
  • 僧帽弁逆流症に合併する重症三尖弁逆流症の特徴と予後の実態を調査-順大ほか
  • 化膿性脊椎炎、「後方固定術」による脊椎安定化が感染制御に寄与する可能性-筑波大
  • あなたは医療関係者ですか?

    いいえはい