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尿1滴から糖尿病腎症の悪化を予測できる新たなバイオマーカーを発見-岡山大

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2018年06月26日 AM10:30

2型糖尿病患者の将来の腎臓機能の悪化を予測

岡山大学は6月22日、2型糖尿病患者において、将来の腎臓機能の悪化を予測できる新たな尿バイオマーカーを発見したと発表した。この研究は、同大大学院医歯薬学総合研究科(医)腎・免疫・内分泌代謝内科学分野の和田淳教授、三瀬広記医員らの研究グループによるもの。研究成果は、米科学雑誌「Diabetes Care」の電子版に掲載された。


画像はリリースより

日本を含めた欧米アジア諸国において、透析の原因となる腎臓病の第1位は糖尿病腎症だ。「わが国の慢性透析療法の現況2016(日本透析医学会)」によると、日本で新規に透析導入となる人のうち43%(1万6,000人)が、糖尿病腎症が原因で透析に至っている。

糖尿病腎症は、近年登場したさまざまな治療薬などの効果で、以前よりその進行は抑えられていると考えられている。しかし、糖尿病腎症による透析導入者数はいまだ多く、バイオマーカーによって将来の腎臓病悪化を早い段階で予測し、積極的な治療により透析を回避することや、新たな治療ターゲットの探索が望まれている。

これまでより正確に腎機能悪化を予測可能に

糖鎖は生体においてさまざまな役割を担っている重要な生体高分子だが、構造が複雑なためその測定は困難であり、腎臓病や糖尿病における糖鎖の研究は進んでいなかった。しかし、今回の研究では、共同研究者の株式会社グライコテクニカが開発したレクチンアレイを用いて、尿1滴(20マイクロリットル)を用いるだけで、多くの患者の尿中の複数の糖鎖量を短期間かつ同時に測定できるようになったという。研究グループは、このレクチンアレイを用いて、岡山大学病院を含めた岡山県内8施設における2型糖尿病患者の尿中糖鎖量を測定した。

その結果、将来腎臓の機能が悪くなる人では、特定の尿中糖鎖量が大きく異なっていることを発見。レクチン「SNA」に結合する糖鎖「Siaα2-6Gal/GalNAc」、レクチン「RCA120」に結合する糖鎖「Galβ1-4GlcNAc」、「ABA・Jacalin・ACA」という3つのレクチンに共通して結合する糖鎖「Galβ1-3GalNAc」の尿中排せつ量が多い人や、レクチン「DBA」に結合する「GalNAcα1-3GalNAc」の尿中排せつ量が少ない人では、将来腎臓の機能が悪化する人が多いという結果が得られたという。さらに、これまでに知られているアルブミン尿などのバイオマーカーに、これら尿中糖鎖を加えることで、これまでより正確に腎機能悪化を予測できることが明らかになったとしている。

尿1滴でわかる糖鎖排せつ量の違いにより、糖尿病患者の将来の腎臓病悪化を予測できることで、これまでより早い段階で、より説得力を持って生活習慣指導や治療強化ができるようになる。研究グループは「これにより、糖尿病腎症が進行し透析となる人を減らすことができる」と述べている。

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