国内で独占的に開発製造販売、アジア地域での優先交渉権を取得
大原薬品工業株式会社は6月21日、株式会社PRISM Pharmaと新規化合物PRI-724に関するライセンス契約を5月24日付けで締結したことを発表した。
今回の契約締結により、大原薬品は肝硬変などの線維性疾患を対象としてPRI-724の注射剤を日本国内で独占的に開発、製造、販売する権利、ならびにアジア地域における優先交渉権を取得。また、PRISMに対して、契約金、PRI-724の開発マイルストーンに応じた対価ならびに売上に連動したロイヤリティを支払う。
医師主導P1試験が終了、早期の製造販売承認取得を目指す
PRI-724はPRISMが創製した化合物で、Wnt/β-カテニンシグナル伝達系の活性化を抑制するCBP/β-カテニン阻害剤。がんの治療薬として開発が進められていたが、東京都医学総合研究所において、独自に開発した肝硬変モデルマウスを用いて、PRI-724が肝組織像を改善するなど抗線維化作用を有することを確認している。この研究成果に基づき、国内では、⽇本医療研究開発機構(AMED)の支援を受け、東京都立駒込病院において肝硬変の患者を対象とした医師主導での第1相臨床試験が終了している。
国内の肝硬変患者の約6割は、C型肝炎ウイルス感染が原因。近年、直接作用型抗ウイルス薬の登場によりHCV排除が可能となってきたが、HCV除去後の線維化改善には長期間を要し、この間に生じる合併症(発がんなど)によって患者のQOLが大きく損なわれているのが実情である。大原薬品は今後、B型およびC型肝炎ウイルスに起因する肝硬変を対象に、PRI-724の開発を⼀層推進して早期の製造販売承認取得を⽬指すとしている。
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・大原薬品工業株式会社 ニュースリリース