褐色細胞腫の血圧調整・診断に適応
ノバルティス ファーマ株式会社は6月15日、「褐色細胞腫の手術前・手術中の血圧調整、褐色細胞腫の診断」を適応とした「レギチーン注射液10mg」(一般名:フェントラミンメシル酸塩)の販売終了および、新たに代替製品として「レギチーン注射液5mg」の発売を発表した。同剤は、6月15日付けで薬価基準に収載されたことを受け、同日発売される。
画像はリリースより
褐色細胞腫は、副腎髄質や傍神経節等などから発生する腫瘍で、カテコールアミンの過剰分泌を起こし、動悸、頭痛などの症状や高血圧、糖尿病をきたす疾患。国内の患者数は、約3,000名と推計されている。褐色細胞腫の多くは良性腫瘍で、手術による摘出で治癒するが、約10%は骨、肝などに転移を生じる悪性腫瘍である。根治的な治療は外科的な切除であるが、分泌されるカテコールアミンは代表的な心血管系作動ホルモンであり、過剰産生に伴い脳心血管系イベントを引き起こす可能性があるため、術前から術後の血圧管理が重要となる。
カナダで発売されている注射液を日本で販売
レギチーンは国内唯一の非選択的αブロッカーであり、α受容体遮断作用および血管拡張作用により、過剰の循環カテコールアミンを生じる褐色細胞腫の診断や術前・術中の血圧調整に用いられる注射剤。これまで日本を含め多くの国で処方されてきたが、海外では代替薬が発売され、需要が大きく低下していることから製造中止が決定された。しかしながら、日本では代替薬が承認されておらず、また後発品もないことから、医療関係者や患者団体からの供給継続の要望を受け、国内での供給を継続する手段を検討していた。
その結果、カナダにあるノバルティスのグループ会社で、カナダ国内向けに製造されているフェントラミンメシル酸塩の注射液を導入することが決定。今年2月15日に剤型追加として承認申請され、今回新たに「レギチーン注射液5mg」としての販売に至ったとしている。
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・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース