今回の薬価改定の各社平均影響率は、薬価研56社では7.3%、日本ジェネリック製薬協会36社が11.4%、欧米企業のPhRMA・EFPIA25社が6.2%となった。前回改定から薬価を引き上げた品目は全体の2.7%、据え置きは22.9%となった一方、引き下げ品目は74.4%となった。
新薬創出等加算で適用外品目となった469品目のうち、企業が薬理作用類似薬1番手で新規作用機序薬として主張した73品目が脱落した。「対象疾患に対して初の治療選択肢を提供する」と主張した品目が54品目と最も多かった。
新規作用機序薬の収載から「3年以内かつ3番手以内」に収載した薬理作用類似薬であるが、1番手が加算適用品ではない、もしくは基準を満たさなかったため、適用されなかった品目も11品目もあった。不服申し立てを行った品目のうち、23品目が新規作用機序薬に係る基準に該当することが認められた。
一方、新薬創出等加算を受けた506品目のうち、新規作用機序医薬品として認められたのは、既存治療で効果不十分な疾患に有効性を示したのが39品目、既存治療に対して比較試験により優越性を示したのが24品目、対象疾患に対して初めての治療選択肢を提供する品目が31品目に上った。
後発品収載後10年を経過した長期収載品の後発品価格への引き下げについては、ルールの影響が一定程度高い企業に対する円滑実施計数が適用された企業が存在することが確認されていた。
■新委員長に上出氏が就任‐品目・企業要件見直しを検討
また、日薬連の保険薬価研究委員会は14日、都内で総会を開催し、上出厚志氏(アステラス製薬執行役員渉外部長)を新委員長に選任した。
上出氏は、15日に記者会見し、「業界を取り巻く環境の厳しさから、保険薬価研究委員会の委員長に就任する責任の重大さを感じている。薬価制度にかかわるステークホルダーが厚生労働省や中央社会保険医療協議会から財務省へと広がり、情報の受発信が大切だと思っている」と抱負を述べた。
上出氏は、薬価制度の抜本改革について、「残念ながら総じて薬価を引き下げることになり、イノベーションの推進という観点から不十分だったというのが業界の共通認識」との見解を述べた。特に新薬創出等加算対象品目の見直しは「大幅に対象品目が削られ、新薬開発のモチベーションを損ねる内容だったのではないか」との考えを示した。
今後は、業界に与える影響を検証しながら、イノベーション推進の観点から、新薬創出等加算の対象品目を限定する「品目要件」の見直しや「企業要件」のあり方について検討を進める方向だ。
今年度中に結論を出す予定の費用対効果評価の制度化に向けては、13日の中医協での国民の支払い意思額調査について、有識者の提言を受け、新たな調査を実施しないことで決まった。上出氏は、「アプレイザルの方法や価格調整方法などを業界として考え方を固めて、今後の議論に臨んでいきたい」と述べた。ただ、「イノベーションの推進や患者アクセスを阻害してはいけない」と保険償還への利用には今後も反対する姿勢を示した。
一方、後発品収載後、10年を経過した長期収載品薬価を引き下げる新ルールについても、後発品の使用促進や後発品メーカーの増産体制、長期収載品の市場撤退が可能であるかを含め、「どのような影響があるか見極めないといけない」とし、基礎的医薬品等の薬価を下支えするルールと後発品の薬価のあり方と合わせた検討を行う。来年の消費税率引き上げに伴う薬価改定では、「改定年度の薬価調査や薬価改定の影響を踏まえつつ、どのような改定が適切であるか、意見を言えるようにしたい」と述べた。