IDMCの推奨により試験の継続を断念
米イーライリリー・アンド・カンパニーとアストラゼネカは6月12日、アルツハイマー病の治療薬の経口βセクレターゼ切断酵素(BACE)阻害剤であるlanabecestatを評価する国際共同第3相臨床試験の継続を断念したことを発表した。
これは、独立データモニタリング委員会(IDMC)の推奨に基づいて決定されたもので、IDMCは早期アルツハイマー病を対象としたAMARANTH試験と軽度アルツハイマー型認知症を対象としたDAYBREAK-ALZ試験の両試験について、終了時に主要評価項目を達成する可能性は低く、試験を継続しても治験薬の有効性を示すことが難しいとしている。これを受け、AMARANTH試験の継続投与試験も中止するという。
BACEアライアンスは継続
AMARANTH試験において、早期アルツハイマー病患者は、20mgまたは50mgのlanabecestat、またはプラセボのいずれかに無作為に割付けられ、104週間にわたって1日1回経口投与された。主要評価項目は、アルツハイマー病評価尺度における認知機能下位尺度(ADAS-Cog13)スコア13項目のベースラインからの変化。早期アルツハイマー病は、アルツハイマー病による軽度認知障害から軽度アルツハイマー型認知症の患者を含み、一連の疾患として定義されている。AMARANTH試験を完了したすべての患者は、実薬が投与されるAMARANTH試験の継続投与試験に参加できる。
DAYBREAK-ALZ試験は、軽度アルツハイマー型認知症患者を無作為に割付け、156週間にわたって20mgまたは50mgのlanabecestat、またはプラセボのいずれかを1日1回経口投与。主要評価項目は、アルツハイマー病評価尺度における認知機能下位尺度(ADAS-Cog13)スコア13項目のベースラインからの変化だった。
なお、IDMCの勧告は安全性に基づくものではない。リリーとアストラゼネカのlanabecestatについてのBACEアライアンスは継続し、両社は適切に試験を中止していくとしている。
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・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース