iOSアプリを株式会社Kompathから無料でリリース
東京大学医学部附属病院は6月12日、CT、MRI、レントゲン検査などの医用画像を簡単に閲覧できるアプリケーションを開発したと発表した。このアプリは、同病院脳神経外科の金太一助教ら研究グループが開発したもの。同アプリは株式会社Kompathから無料でリリースされ、6月12日時点ではiPhoneとiPadにのみ対応。その他のスマートフォンやタブレットコンピュータには対応していない。データの取り込みはiTunes経由で行える。
画像はリリースより
レントゲンX線検査、CT、MRI、核医学検査などの医用画像の種類は多種多様で、また特殊なフォーマットで作成されているため、一般的なデジタル画像と違って、簡単に見ることはできない。こうした医用画像を見るためには、医師や医療従事者、医学生、研究者であっても高度な知識と難解な操作を要するソフトウェアを使用しなければならない。
遠隔医療や災害時などの救急医療の現場では、病院外で簡便かつすばやく医用画像を見ることができる機能が必要とされているなどの理由から、どこでも誰でも簡単に医用画像を見ることができるツールの開発が望まれていた。
輝度値の調整、観察断面の再構成などの機能も実装
今回、研究グループは、世界的に最も多くの人が所有している電子デバイスであるスマートフォンとタブレットコンピュータ上で動作することで、どこでも誰でも閲覧できるアプリを開発。このアプリは、説明書を熟読しなくても直感的で正確な操作を可能とさせるユーザーインターフェースを実装しているという。
レントゲンX線検査、CT、MRI、核医学検査、脳血管撮影検査などの医用画像の高速な表示が可能で、画像の拡大や平行移動、輝度値の調整、観察断面の再構成など、医師にとって必要十分な機能も兼ね備えている。さらに、撮像時期の異なるデータや、CTとMRIなど異なる種類の医用画像の同時表示が可能で、それらのスライス移動がシンクロする機能を実装。医用画像の種類、検査日、撮像条件、患者名などの画像に付加している情報に関して、表示・非表示を選択できるという。
同アプリについて、研究グループは、「これまで敷居の高かった医用画像情報が広く社会に行きわたり、一般の方の医学的知識の啓発や遠隔医療、災害地や医療過疎地での医療の質向上、および医用研究開発の促進が期待される」と述べている。
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・東京大学医学部附属病院 プレスリリース