Lundbeck社が創製、武田薬品が臨床試験プログラムを実施
武田薬品工業株式会社とデンマークのH. Lundbeck A/Sは6月11日、大うつ病性障害治療薬「vortioxetine」の日本における成人大うつ病性障害(MDD)患者を対象とした臨床第3相試験において良好な結果が得られたと発表した。
vortioxetineは、コペンハーゲンにあるLundbeck社の研究者により創製。日本では、武田薬品によって臨床試験プログラムが実施された。同剤は、セロトニン(5-HT)の再取り込み阻害作用と5-HT受容体活性を直接調節する5-HT1A受容体刺激作用、5-HT1B受容体部分的刺激作用、5-HT3、5-HT1D、および5-HT7受容体拮抗作用などを有しており、セロトニン系、ノルエピネフリン系、ドーパミン系、ヒスタミン系、アセチルコリン系、ガンマアミノ酪酸(GABA)系、およびグルタミン酸系を含む、いくつかの系において神経伝達の調節を行うとされている。これらの作用の1つひとつがvortioxetineの抗うつ作用にどのように寄与しているかについてはまだはっきりとはわかっていないが、同剤はこういった薬力学的作用を併せ持つ初めてかつ唯一の化合物であると考えられている。
すでに60か国を超える国々で発売、国内でも承認申請のための準備を推進
vortioxetineは、MDD成人患者の治療薬として2013年9月30日に米国食品医薬品局(FDA)から承認。さらに77か国(欧州、カナダ、チリ、中国、メキシコ、アルゼンチン、韓国、トルコ、オーストラリア、香港、シンガポール、および南アフリカ共和国を含む)でも承認されており、これまでに60か国を超える国々で発売されている。北米以外では、ボルチオキセチン臭化水素酸塩は「Brintellix(R)」という製品名で販売されている。
国内では、武田薬品が2015年4月より大うつ病性障害患者を対象に、プラセボを対照とした臨床第3相試験(NCT02389816)を実施。日本の成人再発大うつ病性障害患者約490例にvortioxetine(10mgまたは20mg)群、またはプラセボ群のいずれかを無作為に割り付けた。主要評価項目は、投与8週時におけるMontgomery-Åsberg Depression Rating Scale (MADRS)合計スコアのベースライン(二重盲検期開始時)からの変化量だった。
今回の良好な試験結果を受け、両社は今年末までに厚生労働省にvortioxetineの製造販売承認申請を行うための準備を進めていく予定だとしている。
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・武田薬品株式会社 ニュースリリース