厚生労働省は8日、新たな関節リウマチ対策と全体目標を盛り込んだ報告書の骨子案を、厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ等対策委員会に示した。7年ぶりに見直すもので、メトトレキサートや生物学的製剤などを使用した治療の高度化により、薬剤師が薬剤や副作用の専門知識を持つ必要性を指摘。関係学会や関係団体に対し、研修を通じた人材育成が望ましいと促したほか、生物学的製剤の適正使用を推進していく方向性も打ち出した。
骨子案では、関節リウマチの治療が近年、メトトレキサートや生物学的製剤の効果的な選択により、飛躍的に進歩し、新規発症患者では早期診断・治療することで関節破壊の阻止が期待できることを明記。新たな関節リウマチ対策の全体目標として、自覚症状が少ない早期に発見・診断し、適切な治療を早期から実施することで重症化を予防すること、患者の長期的な生活の質を最大限改善することなどを掲げた。
その中で、診療の標準化・均てん化に向けては、メトトレキサートや生物学的製剤の適切な使用方法の普及、減薬・休薬・中止に関する検討が不十分として、国が関係学会と連携し、生物学的製剤の適正使用を推進すると共に、減薬等の検討が必要とした。
また、専門的なメディカルスタッフの育成については、メトトレキサートや生物学的製剤などが登場し、関節リウマチ治療が高度化したことにより、薬剤師が薬剤や副作用等に関する専門知識を持つ必要があると指摘。関係学会や関係団体に対して、薬剤師等の研修を通じた人材育成を行うことが望ましいとした。
研究開発の推進については、標的分子の制御による治療手段、早期治療から始まる治療戦略は大きく進歩したものの、骨破壊や軟骨破壊などの分子機序や自己免疫学的な機序解明は不十分と課題を指摘。国が関連学会と連携し、関節破壊の阻止や免疫学的な機序解明の研究を進め、関節リウマチの治癒や予防研究を推進するとした。