乱立するDBを1か所に集約、横断的に整理統合
科学技術振興機構(JST)と情報・システム研究機構は6月7日、日本人ゲノム配列の個人による違い(バリアント)とそれに関係する疾患情報などを収集・整理したデータベース「TogoVar」(トーゴーバー:日本人ゲノム多様性統合データベース)を構築し、同日より無料公開すると発表した。
画像はリリースより
薬の効き方や疾患のかかりやすさ、お酒を飲むと顔が赤くなるといった体質などの「表現型」は、遺伝子のバリアントと関係している。表現型とバリアントの関係を発見するためには、対象とする集団に存在するバリアントの割合(頻度)の情報が必要であり、多くのデータを活用できることが成功の鍵となる。
すでに海外では大規模なバリアントの統合データベースとしてdbSNPやExAC、gnomADなどがあり、10万人規模の個人ごとのゲノムデータを集約したバリアントの頻度情報が公開され、広く利用されている。一方、日本国内では、これまでさまざまな研究プロジェクトごとに公開されてきたため、プロジェクトを越えて横断的にバリアントの頻度情報を活用できるようにすることが課題だった。
国内外のDBや文献情報などのワンストップ検索が可能に
この課題を解決するために、TogoVarでは、各プロジェクトで生産された個人ゲノムを集計したバリアントの頻度情報や文献情報などを収集・整理し、さまざまな条件(バリアントのヒトゲノム上の位置、種類など)を用いて、ワンストップで検索する機能を提供。これと同時に、これまでNBDCヒトデータベースに登録された日本人のゲノムデータから大規模なバリアントの頻度情報を集計して検索対象とするとともに、そのデータセットをTogoVarで公開した。
今後、TogoVarは、遺伝カウンセリングなど日本人を対象にした個別化医療(高精度医療)に向けたゲノム医科学の発展に寄与する日本人ゲノム情報基盤となることを目指し、バリアントに付随する遺伝子発現データなどの研究者に有用な情報を追加するとともに、NBDCヒトデータベースによりバリアントの頻度情報をさらに充実させていくとしている。
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・科学技術振興機構 共同発表