夜間覚醒時の姿勢安定性で有意性を示したレンボレキサント
エーザイ株式会社と米Purdue Pharma社は6月6日、睡眠と覚醒を調節する薬剤として現在開発中のレンボレキサントに関する2つの臨床第1相試験(108試験および106試験)の最新データを発表した。このデータは米国・ボルチモアで開催された第32回米国睡眠学会(SLEEP2018)年次総会で発表された。
108試験は、米国において55歳以上の健康な成人56人を対象に、アラームによる夜間覚醒時および翌朝起床後の、レンボレキサントの姿勢安定性および認知機能への影響を評価する、無作為化二重盲検4期クロスオーバー並行群間比較臨床第1相試験。主要評価項目である夜間覚醒時の姿勢安定性について、レンボレキサント(5mg、10mg)群と、ゾルピデム徐放性製剤6.25mg群ならびにプラセボ群との比較評価を行った。
姿勢安定性の指標である身体のふらつきを表す数値のベースラインからの平均変化量について、レンボレキサント5mg群:5.8単位、レンボレキサント10mg群:8.1単位、ゾルピデム徐放性製剤群:20.4単位、プラセボ群:-1.1単位となり、レンボレキサント両群はゾルピデム徐放製剤群に対して統計学的な有意性が確認された(p<0.0001)。
自動車運転能力を評価する106試験でも主要評価項目を達成
106試験は、公道での自動車運転能力を評価する、健康な成人24人および高齢者24人を対象に実施された、無作為化二重盲検プラセボおよび実薬対照4期クロスオーバー並行群間比較臨床第1相試験。主要評価項目は、側線に沿って運転したときの車体の側線からのずれの標準偏差(SDLP)を指標に、単回投与後の翌朝および最終の反復投与後の翌朝の自動車運転能力について、プラセボ群との比較で評価した。
試験の結果、レンボレキサント(2.5mg、5mg、10mg)群では、単回投与後(2日目朝)および反復投与開始9日目朝におけるプラセボ群との平均SDLP値の比較について、いずれも統計学的な有意差は認められず、主要評価項目を達成。一方、ゾピクロン7.5mg群では、プラセボ群と比較して平均SDLP値が有意に増加した。投与2日目におけるプラセボ群に対する平均SDLP値の差は、レンボレキサント2.5mg群:0.02cm、レンボレキサント5mg群:0.23cm、レンボレキサント10mg群:0.73cm、ゾピクロン7.5mg群:2.04cm。また、反復投与開始9日目におけるプラセボ群に対する平均SDLP値の差は、レンボレキサント2.5mg群:0.48cm、レンボレキサント5mg群:0.36cm、レンボレキサント10mg群:0.74cm、ゾピクロン7.5mg群:1.88cm。SDLPの平均変化における95%信頼区間の上限は、すべてのレンボレキサント群(投与2日目および9日目)において、2.4cm未満で、これは臨床的に自動車運転能力に支障をきたさなかったことを示すものであるという。
レンボレキサントは、複数の睡眠障害を対象とした臨床試験での開発が進められている。同剤については、臨床第1相試験結果に加えて、副次評価項目としてゾルピデム酒石酸徐放性製剤との直接比較を含む睡眠障害を対象としたプラセボ対照臨床第3相試験(SUNRISE1試験/304試験)のトップライン結果を取得している。
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・エーザイ株式会社 ニュースリリース