非小細胞肺がんの4~35%で過剰発現、最大5%で変異が見られるHER2
第一三共株式会社は5月31日、HER2過剰発現またはHER2変異のある再発・進行性非小細胞肺がん患者を対象としたDS-8201の第2相臨床試験において、最初の患者への投与を開始したと発表した。
非小細胞肺がん(NSCLC)の治療成績は、近年の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤の登場により大きく改善したが、再発・進行性の非小細胞肺がんにおいては、新しい治療法が必要とされている。
HER2は非小細胞肺がんの4~35%に過剰発現し、HER2過剰発現は予後不良と全生存期間の短さに関与していると報告されている。またHER2変異は、最近になり、従来のHER2過剰発現とは異なる特徴を持つ標的として特定され、非小細胞肺がんの最大5%に見られると報告されている。現在、HER2過剰発現またはHER2変異のある非小細胞肺がんの治療において、承認されている抗HER2療法はない。
主要評価項目は全奏効率、日米欧で約80名の患者を登録予定
抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつ、がん細胞への攻撃力を高めた薬剤。DS-8201はHER2に対するADCだ。
今回の試験は、前治療を受けたHER2過剰発現またはHER2変異のある再発・進行性非小細胞肺がん患者を対象とした第2相臨床試験で、同剤の有効性と安全性を評価。主要評価項目は全奏効率で、日米欧において約80名の患者を登録する予定だという。なお、同試験は、DS-8201の乳がん、胃がんおよび大腸がん領域に続く第2相臨床試験となる。
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