2009~2011年の27府県の人口集団ベースのデータを集計
国立がん研究センターは5月30日、2009~2011年に新たにがんと診断された小児およびAYA(思春期・若年成人)世代のがん罹患率を人口集団ベースで集計し、「がん情報サービス」に統計解説ページを新規に掲載した。この研究は、同センターがん対策情報センターがん統計・総合解析研究部が、厚生労働科学研究費補助金「都道府県がん登録の全国集計データと診療情報等の併用・突合によるがん統計整備及び活用促進の研究」研究班の「地域がん登録」データを活用して行ったもの。小児からAYA世代のがん罹患率を、全国規模の人口集団ベースで、小児がん国際分類に従って集計した例はなく、今回小児期からAYA世代にかけて多くみられるがん種の順位も合わせて初公表となった。
小児がんは、一般に0~14歳のがんを指す。AYA世代は、15~20歳代、30歳代を指すことが多く、ここでは15~39歳を指すとしている。2007年に小児がんのみの罹患率は公表されていたが、対象地域が15府県と少なく、診断年が1993~2001年と古いデータだった。そこで今回は、2009~2011年の27府県の人口集団ベースのデータで、対象年齢をAYA世代に拡大して集計を行った。
20歳未満は白血病が最も多く
集計の結果、2009~2011年の小児がんの罹患率は、12.3(人口10万人あたり)だった。AYA世代のがん罹患率は、15~19歳で14.2、20歳代で31.1、30歳代で91.1(人口10万人あたり)だったという。これらの罹患率を日本全体の人口に当てはめると、1年間にがんと診断される症例数は小児で約2,100例、15~19歳で約900例、20歳代で約4,200例、30歳代で約16,300例と推計される。がん種別順位では、0~19歳の1位が白血病、20歳代の1位が胚細胞腫瘍・性腺腫瘍、30歳代の1位が女性の乳がんだった。とくに女性では20~30歳代にかけて乳がん、子宮頸がん、甲状腺がんが増えていたとしている。
画像はリリースより
2007年の先行研究の結果と比較すると、今回の罹患率は全体的に高い結果となったという。これは、がん登録の精度が向上したことが原因と考えられるとしている。
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・国立がん研究センター プレスリリース