■安定供給可能な薬価制度を
日本ジェネリック製薬協会は5月29日、都内で総会を開き、澤井光郎氏(沢井製薬社長)を新会長に選任した。任期は2年。2020年9月のジェネリック医薬品(GE薬)数量シェア80%達成を見据える大事な時期でのトップ交代となった。澤井氏は、総会後の記者会見で、4月から実施された薬価制度の抜本改革により、「GE薬業界は全くこの先を予見することができない状況に陥っている」との認識を示し、「数量シェア80%達成以降、そして100年後にも日本品質のGE薬を安定供給し続けるために、何をなすべきかを問い直す時期だ」と、GE薬の安定供給の確保に向けた決意を語った。
澤井氏は、新会長として、▽GE薬数量シェア80%の達成に向けたGE薬の普及活動▽GE薬を持続的に安定供給できる薬価制度の実現▽環境激変に伴う「GE医薬品産業ビジョン」の改定と政策の提言――の三つを基本方針に掲げた。
現在のGE薬メーカーを取り巻く事業環境について、GE薬収載後10年が経過した長期収載品の薬価を引き下げる新ルール「G1」「G2」が新設されたことで、「GE薬への置き換えが進むのか、足踏みするのか、GE薬の増産体制を進めるべきなのか、現状維持でいくのか、予見が難しくなった」と語った。さらに、GE薬シェアが20年9月に80%へと到達した場合、これまでの年15%近い数量増が8%まで鈍化することや、新薬の枯渇や毎年薬価改定などが重なると、「仮にこれまでと同じように二桁改定が行われると、金額ベースではGE薬市場はマイナス成長の時期に転じる」と厳しい状況を予測する。
特に安定供給への対応に向けては、薬価制度の是正が必要と主張。海外では製薬大手がGE薬事業から撤退する中、より原価率が高く収益性が低い国内GE薬メーカーには、「厳しい事業環境にある」と説明。価格帯の集約についても、「会員以外の企業では価格を下げてシェア拡大を図るところもあり、まじめに取り組んでいる企業の薬価が実勢価格以上に下がり、安定供給に重きを置かない企業の薬価は実勢価格より高くなるという価格帯制度が抱える問題が、マイナス成長に入っていく今後のGE薬業界に大きな影響を与える」と懸念を示した。
一方、GE薬の産業ビジョンについては、「ビジョン策定時にはG1、G2の導入や長期収載品の撤退などを予見していなかった」とし、任期中に改訂作業に着手する考えだ。
副会長には、角田礼昭氏(共和薬品工業社長)、高田浩樹氏(高田製薬社長)、吉田逸郎氏(東和薬品社長)、田村友一氏(日医工社長)が選任された。