CRT後に病勢進行がなかった患者が対象
英アストラゼネカ社は5月25日、白金製剤を用いた根治的同時化学放射線療法(CRT)後に病勢進行が認められなかった切除不能な局所進行(ステージ3)の非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とするデュルバルマブ(遺伝子組換え)の無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第3相試験であるPACIFIC試験において、良好な全生存期間(OS)の結果を発表した。
デュルバルマブは、PD-L1に結合し、PD-L1とPD-1およびCD80の相互作用を阻害するヒトモノクローナル抗体。腫瘍の免疫からの逃避機構が働かないよう作用し、免疫反応を誘発する。現在、白金製剤を用いたCRT後に病勢進行が認められなかった切除不能な局所進行のNSCLC患者の治療薬として米国およびカナダで承認されており、EU、日本および他の地域では承認審査中だが、2018年下半期に審査結果が判明することが想定されている。
統計学的に有意なOSベネフィット示される
PACIFIC試験は、白金製剤を用いたCRTの後に進行が認められなかった切除不能な局所進行(ステージ3)のNSCLC患者を対象にデュルバルマブの逐次投与をおこなう多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、713人の患者、26か国の235施設で実施中。同試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)およびOSで、副次的評価項目にはランドマークPFSおよびOS、客観的奏効率および奏効期間が含まれる。
同試験については2017年5月、盲検下での独立中央判定により評価されたPFSについて、プラセボ投与群に対し11.2か月のPFS中央値の改善を示すことで、第1の主要評価項目であるPFSの延長を達成したことが発表されていた。
そして今回、独立データモニタリング委員会によって実施された事前に計画された中間解析において、プラセボ投与群との比較でデュルバルマブ投与群の患者の臨床的に意味のある改善を伴う統計学的に有意なOSベネフィットが示されたことにより、第2の主要評価項目を達成したことが結論付けられたという。デュルバルマブの安全性および忍容性プロファイルは、PFS解析時に報告された内容と一貫していた。アストラゼネカはPACIFIC試験の結果を今後の学会において発表する予定。
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