東京大学薬学系研究科・薬学部の清水央子特任准教授は26日、都内で講演し、実臨床でのレセプトや電子カルテなどのリアルワールドデータ(RWD)を活用し、医療の質向上につなげる日本の体制について、「フィンランドやデンマークなど海外に比べると周回遅れ」との認識を示した。「日本には医療ビッグデータがなく、散在する小規模な医療データベース(DB)を組み合わせてビッグデータにしようとしている」との方向性に対し、民間企業がそれぞれ提供するDBでは、統合した解析が行えず、活用に限界があると指摘。今後、個別に構築・運用されているRWDを相互活用できる共通プラットフォームの設計に加え、患者やその家族が医療情報の提供に協力できる環境整備を訴えた。
清水氏は、「登録された医師が登録された医療機関で、リスト化された診療行為によって、承認された医療用医薬品の処方を行い、調剤薬局が調剤するため、本来はデータが集めやすい」と海外に比べても優位な環境にあると指摘。その一方で、製薬企業が活用している医療情報を見ると、民間企業が運営する医療DBが中心となっており、海外に比べ「整備が進んでいない」と述べた。