オフェブ投与による死亡リスクの低下を示唆
独ベーリンガーインゲルハイムは5月22日、特発性肺線維症(IPF)患者における「オフェブ(R)」(一般名:ニンテダニブ)の有効性、安全性、および忍容性プロファイルが裏付けられる新たなデータを発表した。このデータは、米国胸部学会の2018年度年次会議(ATS2018)で発表された。
第3相INPULSIS(R)試験の2試験および第2相TOMORROW試験の併合データを用いて、オフェブまたはプラセボ投与患者で認められた死亡率と、GAPステージに基づく予測死亡率との1年間の比較を行った。その結果、集団全体(n=1,228)において、オフェブ群(n=722)およびプラセボ群(n=506)の死亡例数は、ベースライン時のGAPステージに基づく予測値を下回った(オフェブ:42vs.89.9、プラセボ:41vs.64.2)。オフェブ群で観察された死亡例数がGAPステージに基づく予測値の46.7%であったのに対して、プラセボ群で観察された死亡例数は予測値の63.9%だった。
呼吸機能の低下と健康関連OQL悪化の関連性を示唆
INPULSIS試験データの追加解析結果によると、呼吸機能低下の程度の大きさは、患者が報告する健康関連QOL(HRQOL)の悪化と関連することが認められた。HRQOLでは、呼吸機能、息切れ、咳、および痰のほか、QOLのスコアを評価。オフェブまたはプラセボを投与した患者の併合データでは、治療の有無を問わず、FVCの予測値に対する割合が10%超低下すると、さまざまなHRQOLスコアの低下がみられることが示された。
また、オフェブが投与されたIPF患者の最大集団から得た現在までに解析されたデータにより、オフェブの安全性および忍容性プロファイルがさらに裏付けられた。この解析では、TOMORROW試験およびINPULSIS試験の2試験、ならびにこれらの非盲検継続投与試験を含め、6試験の患者(n=1,126)を対象とした。オフェブへの曝露は、平均27.7か月、最長93.1か月、全体で約2,600患者/年。永続的な減量(150mg1日2回投与から100mg1日2回投与への減量)および試験中止に至った有害事象の発現率は、それぞれ曝露100患者/年当たり12.8件および23.8件。最も多くみられた有害事象は下痢で、下痢による減量および試験中止がそれぞれ患者の17.2%および8.8%で発現。併合データによると、下痢の発現率は第3相INPULSIS試験で認められた発現率よりも低下した。