水分を吸収し膨潤する粉末状の癒着防止材
生化学工業株式会社は5月21日、外科手術で使用される癒着防止材「SI-449」について、国内における臨床試験(パイロット試験)の開始を発表した。
SI-449は、同社独自のグリコサミノグリカン架橋技術を用いて創製した粉末状の癒着防止材。コンドロイチン硫酸架橋体を主成分としている。水分を吸収し膨潤する特性を有しており、撒布後に手術創部と周辺組織の間でバリアとなることで、術後癒着の防止・軽減効果が期待される。
術後癒着に伴う合併症の発生リスク低減に期待
術後癒着は、開腹手術・腹腔鏡下手術等の外科手術で欠損または損傷した部位が修復する過程において、本来は離れている手術創部と周辺組織が結合し一体化してしまうこと。術後癒着は、無処置の場合50~90%という頻度で発生し、腹部や婦人科手術で腸閉塞、慢性的な腹痛、不妊症などの術後合併症を引き起こす主要な原因となっている。現在、癒着防止材としては、シート状やゲル状の製品が使用されている。
SI-449は、架橋剤を含め体内に存在する物質で構成されており、高い生体適合性を有していると考えられる。また、粉末状製材であることから、凹凸の多い組織表面への付着性が高く、普及が進んでいる腹腔鏡下手術での操作性にも優れていると考えられる。同材の開発により、術後癒着に伴う合併症の発生リスクの低減が期待される。
なお同社は、クラスIVの高度管理医療機器としてSI-449の開発を進めてきており、国内ではパイロット試験において操作性および安全性を探索的に検討していく予定。
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・生化学工業株式会社 ニュースリリース