岩手県薬剤師会に所属する保険薬局で受け付けた院外処方箋のうち、10.5%が後発品への変更不可処方箋だったことが、千葉大学大学院薬学研究院と岩手医科大学薬学部の調査で明らかになった。後発品がない先発品にも変更不可の指示が出ている処方箋が3割以上あり、理由もなく機械的に変更不可を指示している可能性も考えられた。
19日に盛岡市内で開かれた日本病院薬剤師会東北ブロック第8回学術大会で、千葉大学薬学研究院社会薬学の櫻田大也氏が発表した。櫻田氏ら研究グループは、岩手県薬に所属する全保険薬局について、薬局で受け付けた院外処方箋に含まれる後発品への変更不可処方箋の割合を調べた。対象期間は昨年1月23日~3月17日の任意の1週間。
その結果、岩手県薬に所属し有効回答が得られた233薬局で受け付けた全処方箋7万5513枚のうち、7926枚(10.5%)が変更不可処方箋であることが明らかになった。その中で、疑義照会後に変更可となった処方箋が15枚あった。
各薬局の処方箋枚数に対する変更不可処方箋枚数の割合を見ると、大多数の薬局は10%未満にとどまっていたが、50%以上の処方箋が変更不可である薬局もあった。
変更不可の指示件数は1万7557件、品目数は1726品目となった。変更不可の指示があった医薬品の内訳は、後発品のある先発品が52.7%と半数以上を占め、後発品の銘柄指定が14.9%、後発品がないにもかかわらず変更不可の指示が出ていた処方箋も32.4%に上った。一般名処方にもかかわらず変更不可の指示が出ていた処方箋が0.02%に認められた。
薬効分類別では、最も多かったのが循環器用薬、次いで中枢神経用薬、消化器官用薬の順となった。変更不可の理由については、患者の希望が49%と最も多く、薬剤変更により疾病コントロール不良・副作用発現が認められたが30.7%、医師の意向が16.3%となった。
これらの調査結果を踏まえ、櫻田氏は、岩手県の後発品数量シェアが72.6%であることに言及した上で、「80%の達成には1割の変更不可処方箋にメスを入れ、削減していく努力が必要。そのためには、病院薬剤師が先頭に立って医師の後発品に対する積極性を促してほしい」と述べた。
変更不可の指示の必要がない一般名処方、後発品がない先発品の変更不可処方箋が3割以上を占めたことについて、「理由もなく機械的に変更不可の指示をしている可能性も考えられる」と指摘。医療機関における機械的な変更不可を減らす工夫が必要とした。