重症喘息に対する追加療法として使用されているファセンラ
英アストラゼネカ社と同社のグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンは5月11日、中等症から最重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の成人患者を対象とした「ファセンラ(R)」(一般名:ベンラリズマブ(遺伝子組換え))のP3試験「GALATHEA試験」のトップライン結果を発表した。
ファセンラは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性により、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)が、血中、気道の好酸球を速やかに、ほぼ完全に除去するモノクローナル抗体。P1試験により、血中好酸球が24時間以内に速やかに除去されることが確認されている。同剤は、協和発酵キリンの完全出資子会社であるBioWa社から導入され、メディミューンと協和発酵キリンにより開発。アストラゼネカは日本・アジア諸国における喘息・COPDの販売権と、日本・アジア諸国以外の世界市場におけるすべての開発販売権を所有している。
また、同剤はアストラゼネカ初の呼吸器領域の生物学的製剤であり、現在、米国、EU、日本およびその他数か国において、重症喘息に対する追加療法として承認されている。なお、日本での適応は「気管支喘息(既存の治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」である。
COPD増悪で、統計学的に有意に減少せず
主要P3試験GALATHEA試験とTERRANOVA試験は、ベースラインにおいて幅広い血中好酸球数を示し、増悪歴がある中等症から最重症のCOPD患者を対象に、2剤併用、あるいは3剤併用の吸入療法に対する追加療法としてファセンラを投与する群とプラセボ投与群を、56週間にわたり比較する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験。今回の報告によると、GALATHEA試験において、COPD患者の増悪を統計学的に有意に減少するという主要評価項目は達成しなかったという。
なお、同試験における安全性および忍容性は、ファセンラのこれまでの試験で認められた結果と一致。全結果の評価は進行中で、結果は今後開催される学術会議に提出される予定だ。
同社は、もう一方のTERRANOVA試験の結果を待ち、両試験の全結果を評価して、COPD治療におけるファセンラの次のステップを決定していくと述べている。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース